ポリーニ・プロジェクトU
11月3日(祝・木) 《東京:オペラシティ・コンサートホール》
ブーレーズ:二重の影の対話
ベルク:クラリネットとピアノのための4つの小品*
シュトックハウゼン:ピアノ曲Z、ピアノ曲\*
ノーノ:…苦悩に満ちながらも晴朗な波…*
ノーノ:森は若々しく生命に満ちている
(*…ポリーニ演奏曲目)
演奏会に先立ち、プロジェクトに関する講演会が行なわれました。先ずそのご感想から掲載します。
※概要を私の日記帳 「シンポジウム 11月1日」に記しましたので、併せてご覧ください。
〔シンポジウムと上映会〕 マウリツィオ・ポリーニ ノーノを語る
11月1日(火) 《東京:オペラシティ・コンサートホール》
出席者:マウリツィオ・ポリーニ、アンドレ・リヒャルト、岡部真一郎(司会)、岡本和子(通訳)
\(^o^)/ポリーニシンポジウム 《おじさん》さん
行って来ました! お元気そうで(少し痩せたかな?)安心しました。熱心にノーノについてや現代音楽について語ってくれました。現代音楽は、音と音の間が大事と、その例としてシュトックハウゼンの7番冒頭を弾いてくれました。ポリーニは11月3日に演奏される、ノーノの「森は若々しく生命に満ちている」を始め、いろいろ楽譜を持って来ていましたが、その中にシュトックハウゼンの10番もありました。11月3日のシュトックハウゼンは、まだ、正式な発表はありませんが、もしかしたら7番と10番かもしれません。 とにかくその音と音の間が大事な例、実はベートーヴェンでと、ピアノで交響曲第3番「英雄」の第2楽章を弾きました。冒頭のメロディーの部分と、そのメロディーが途切れる最後の部分だけですが、とてもステキな経験でした。また、現代音楽のメロディーは非常に広範囲になるのが特徴だが、それもベートーヴェンが先取りしていると、ピアノソナタ第27番第1楽章を弾きました。そして現代音楽の方はブーレーズのソナタ第2番の第2楽章。いずれも少ししか弾きませんでしたが、貴重な経験ができました。
ノーノはどういう人だったのか、どういう作品を書いたのか。とにかく良く話してくれました。不覚にも、私はまったく気が付いていませんでしたが、ベニスは車の無い都市なので、いろいろな方向から人の足音が聞こえて来るのをノーノが言っていたと、今回、一緒に来日していたアンドレ・リヒャルトが話していましたが、ノーノの音楽の特徴である空間を使った音楽というのは、車の音を抜いた都市の騒音環境に生きたノーノだからこそ書けたのかなと感じました。 11/02(水) 00:41 |
私も行ってきました。 《ともママ》さん
・・・知りませんでした。第2部の上映会、マエストロも客席から一緒にみていらしたんですか・・?私は勝手に、時差などで体調も整えたいだろうし、マエストロは第1部のお話が終わってすぐホテルにお帰りになったんだろうな・・と決め付けてしまっていました。私ごとで恐縮すが・・、昨日の夕方、一番上の子供が部活を休んで学校から帰り「頭が痛い。」と言うので熱を測ったら39度!(子供って何故、大事な時にかぎって具合が悪くなるのでしょう!?)大急ぎで弟が開業しているクリニックに連れて行き、順番抜かしをして診てもらい検査したところ、11月に入ったばかりだというのにインフルエンザ陽性!(私と下の二人の子供たちは先週予防接種を済ませていたのですが、上の子だけは時間がとれなくて「もう高校生だし、今年はいいか・・」と思っていたのです。) そんな訳で、昨晩は6時半を回ってからようやく家を出て(・・こんな状態でも出かけてしまうなんて自分でも薄情な母だとは思いますが・・)、タクシーを飛ばしてオペラシティーに着いたのが6時45分頃、開場が遅れていて長い列が出来ていました。 上映会が終わったのが9時20分頃、終わりのクレジットがまだ流れているうちにそそくさと会場を後にし、9時半にはもう家に戻っていました! マエストロをもっと近くで拝見して握手していただくチャンスがあるって知っていたらあんなに大慌てで帰ってきたりしなかったのにぃ・・。今更やきもちを妬いても(?)仕方ありませんが、マエストロと握手なさったというすみこさん、本当にうらやましいです! 昨晩のお話で一番印象にのこったのは、「ノーノの作品には色濃い政治的メッセージがあるけれど、何よりその作品には芸術的にとても高い価値があるからこそ演奏をしたいのだ。」ということでした。現代音楽って難しくて「私の頭では理解できない・・」と敷居が高く、私には馴染みの薄い、というよりほとんど馴染みのない分野です。でも、「エレクトロニクスなどもそれ自体が目的なのではなく、芸術の世界を表現するための手段のひとつに過ぎない。」とのことですし、いろいろな偏見を捨ててオープンな心で、「間」や空間の意味するところも感じ取りながら、3日のコンサートを聴いてみたいと思いました。 上映会のあのビデオは一般には販売されていないのでしょうか?ノーノ、ポリーニ、アバドの特別な深い絆がよくわかり、イタリアの映像も美しく興味深いビデオでした。 あのオレンジのセーターを着た若い青年がポリーニの息子さんのダニエレさんでしょうか?息子さんもピアニストとのことですが、私はまだ一度もその演奏を聴いたことはありません。どんな演奏をするのでしょう・・。ヨーロッパでは演奏会を開いたりしているのでしょうか・・? 11/02(水) 11:48 |
11月3日(祝・木)ポリーニ・プロジェクトU
11月3日 《おじさん》さん
14回目の来日となるポリーニの11月3日、私が東京オペラシティコンサートホールに到着したのは19時40分頃。行楽帰りの大渋滞に巻き込まれてしまい遅れてしまいました。ベリオのクラリネットとピアノのための4つの小品を演奏中でした。後で聞いたらアンコールでの演奏で、この日はこの曲を2度演奏したとの事。ポリーニの伴奏を聞き逃してとても残念でなりません。しかし、アンコールでこの曲を弾いてくれたおかげでシュトックハウゼンに間に合いました。今日の曲目は
@ブーレーズ:二重の影の対話 ポリーニはA〜Dに出演というプログラムでした。
さてBのシュトックハウゼンピアノ曲7番。この曲をポリーニが日本で弾くのは初めての事です。私の席は前から3列目だったので実に良くピアノの音が聞こえましたが夢見るような美しい音に驚きました。半ペダルのニュアンスや音が鳴らないように鍵盤を押さえ共振だけで鳴らす弦の音まで手に取るように聞こえました。ショパンのノクターンの録音の音がドルチェ(甘く)と思っていましたが、やはり本物の音は違います。「いい音ってなんだろう」という村上輝久氏の本に、ポリーニ24歳の時に調律をした時の話が載っていますが、その時ポリーニが要求したのがドルチェ! 村上氏がソフトな音なのかなと思いソフトに整音したらノーという返事。そこでポリーニがケーキを持って来てこれがドルチェだから食べてくださいと勧められ、村上氏は甘さが口一杯に広がったのでどんな音なのか分かったという話なのですが、その音が眼前に有るような気がしました。拍手無しで9番を続けて演奏。個人的には、やはり10番を見たかったのですが仕方がありません。9番は1989年来日時に初めて弾いた曲で、1998年、2002年に続き4回目になりますが、席が近いせいか、今までで一番美しい9番でした。後半の右手が急速に動くパッセージなど、微妙なニュアンス付けをしていて、まるで虹色の光の洪水のようでした。 11/04(金) 02:11 |
プロジェクト2 《ともママ》さん
おじさん様、昨晩の遅刻、本当にお気の毒なことでした。動かない車の中でどんなにイライラなさったことでしょう!私は・・長男のインフルエンザもタミフルが効いて落ち着き、祝日で主人も家にいたので、オペラシティまでは車で10分とかからない所に住んでいるのですが6時には家を出ました。すみこさんに倣って『ウサギ』になり、開演までの浮き浮き感を楽しみ、6時半過ぎに会場に入りました。 まだ2〜3割しか人が入っていなかったのですが、1階中央に奥様が男性とすわっていらっしゃいました。あの方がファブリー二さんでしょうか?ピアノを見るとやっぱり金文字のサインがありましたね! 私も前から3列目の席でした。中央ブロックの右寄りだったので手は見えませんでしたが表情が手に取るようにわかり、音もとても良く聴こえました。6日もサントリーの3列目中央少し左寄りなので、今度は手も見えるかも・・と期待しています。(若葉シートでどこの席になるかわからない娘、「替わってェ・・。」と何度も頼まれているのですが、絶対No!です。)
最初のブーレーズ。会場が真っ暗になり、スピーカーから聴こえてくるクラリネットの音・・。それから舞台にほの暗く灯ったスポットライトの中でライブのクラリネットが闇のクラリネットと対話するように演奏する・・。
そしてポリーニの登場。ベルクの伴奏も素晴らしかったですが、今回初めて聴くシュトックハウゼンに私はノックアウトされてしまいました。 「苦悩に・・」は、おじさん様がおっしゃる様に私もスピーカーの音が少し大きいような気がしました。前から3列目でそうなのですから、他の席ではどうだったのでしょう。できればポリーニが二人いて2台のピアノで聴きたいなァ・・なんて勝手なことを思いながら、それでも打楽器を打つような打鍵の力強さや敏捷さ、そして不思議な静けさに感動しながら聴きました。 最後の「森は・・」、まるで前衛的なオペラか演劇を観ているようでした。大変なインパクトに圧倒されて、30分間『フリーズ』の状態でした。敢えてテキストの対訳を読まずに臨んだので、‘Is this all I can do?'以外、わからなかったのですが、息苦しいようなカオスの世界で、逃げ場もなく、押し潰されそうな気分になりました。
全部の公演が終わって、客席にいらしたマエストロも私の席のそばの通路を通って舞台へ・・。お相撲さんが花道(?)を通るときみたいに「タッチ」したくなりましたが、がまん、がまん・・。 11/04(金) 10:45 |
RE:プロジェクト2 《おじさん》さん
ともママ様、優しいお言葉ありがとうございます。2002年のポリーニプロジェクトで、ポリーニが伴奏をするのを聴いて、ポリーニの伴奏の素晴らしさにとても感銘を受けたので、今回、聞き逃して本当に残念に思いましたが少し救われました…
私は幸運にも、かなり早い段階でポリーニのシュトックハウゼンを聴く事ができました。というか、ポリーニが日本で初めてシュトックハウゼンを弾いた1978年の10番を聴く事ができました。確か前から4列目の正面でした。ポリーニのこの頃は、日本に来る前にハワイに行って思う存分海水浴を楽しんでから来るというのが習慣だったみたいなんですが、舞台に現れたポリーニのおでこが、一部皮がむけてまだら模様だったのを覚えています。この演奏会は追加公演で、後からチケットが発売されたのでようやく購入する事ができ行けたのですが、何と客席数が3000人を超えるNHKホールです。どこかの評で、この曲が受けた最大の拍手というのが有りましたが、現在以上に現代音楽が一般的では無かった時代に、ポリーニがこのシュトックハウゼンの10番やノーノのソッフェルテ・オンデ・セレーネを弾くのはとても無謀な事だったと思います。ノーノは日本初演だったし、シュトックハウゼンのピアノ曲は、1970年の大阪万博でシュトックハウゼンが来日した時に記念で発売されたアロイス・コンタルスキーが録音したレコードしか無く、よほど興味が有る人しか聞いていなかった曲です。もちろん私も、何の前知識も無く、ただポリーニだからと行ったコンサートでした。しかし、このシュトックハウゼンは私のそれまでの音楽観をひっくり返す出来事になりました。
3日、ポリーニのシュトックハウゼンは、また素晴らしい演奏でした。1978年の体験の上にまた新に音楽の素晴らしさを私に刷り込んでくれて、ポリーニには本当に感謝するしかありません。 11/05(土) 23:06 |
Bravo e Grazie! Maestro!! 2005年の感動