2005年の感動
皆様のご意見・ご感想(2)

オール・ベートーヴェン・プログラム

11月6日(日) 《東京:サントリーホール》

ピアノ・ソナタ第1番 ヘ短調 op.2-1
ピアノ・ソナタ第3番 ハ長調 op.2-3
ピアノ・ソナタ第29番 変ロ長調 op.106「ハンマークラヴィーア」
*
アンコール:6つのバガテルop.126より第3番、第4番

11月6日 
《おじさん》さん
 さあベートーヴェンです。私は2階の右なので鍵盤はまったく見えない所ですが音は飛んで来る所です。ただ、響きが多くてちょっと戸惑いました。
 1曲目のop2−1は個人的には一番楽しみにしていた曲です。特に最初の第1音をスタッカートで弾くのか弾かないのか、とても興味が有った所です。最初のドの音は、スタッカートが書いてあるのと書いてないのが版によって半々ぐらいのような気がしますが、少なくともスラーは無し、次に出てくる左手の同じパッセージは、どの版も大体スタッカートが書いてあるので、次の2音目とつないではいけない所と個人的には考えています。ポリーニの第1音はとても微妙で、つながっているようないないような… 繰り返した時は完全にノンレガートだったので、少なくともポリーニは意識して弾いているのを感じられて安心しました。初期のソナタなので予想はしていましたが、全体的に早い演奏。響きが多い私の席では、中域の響きが残ってしまい、エコーがかかっているようで明瞭に聴く事はできませんでした。低域も薄い感じで、しかし右手の高域はとても綺麗に聴かせてくれました。すべての繰り返しをちゃんと演奏したので、第1楽章も第4楽章も2回弾く事になりますが、特に第4楽章の後半を繰り返されると長い演奏と感じる事がありますが、ポリーニの様に全体の構成がピシッとなっていると繰り返しが当然のように聴こえてくるから不思議で、初めてこの曲の構成がわかったような気がします。
   2曲目のop2−3第1楽章は、カデンツァがあったりして、初期にしてはとても構成の大きな曲ですが、6日の演奏は、ちょっぴり可愛らしくてチャーミングに聴こえました。第2楽章はとても優しい演奏で、1993年に聴いた時に感じた後期につながる精神性を重視した演奏ではなく、ロマン派を思わせる明るい光という感じでした。第3楽章はメロディーの対比を意識しすぎたのか、表現に失敗している所もありましたが、最高のリズム感で生き生きとした効果が楽しかったです。「へい、いらっしゃい! いいネタあるよ! このマグロどうだい!」って感じで、目の前に新鮮な音楽を並べてくれたような気がしました。その乗りがそのまま第4楽章に続き、3番はとても嬉しい感じになりました。
 さてハンマークラヴィア。私の席からは鍵盤がまったく見えないのでよくわかりませんが、第1楽章2つ目の音を右手で取ったような気がします。どなたか確認されているでしょうか? 冒頭の跳躍感は、左手のみで弾いた場合に表現できるので、決して安易に右手で取る様な事はしなかったのですが、もし右手で取っていたら心配です。第1楽章はそれが気になって集中できませんでしたが、第2楽章以降、ポリーニのボルテージもどんどん上がって最高でした。第2楽章は素晴らしかったし、第3楽章以降の表現は何と言えば良いのか… さっきの寿司のネタではないけれど、音楽が生まれている瞬間の積み重ねを何の夾雑物の無い素直な気持ちで受け取る事ができました。第4楽章は1998年程では無かったけれど、やはり盛り上がります。
 これだけの曲目なのに、ポリーニの場合はあっという間に終わってしまう感じなので、残念な気持ちの所アンコールが2曲。ベートーヴェンのバガテルop126−3と4です。3番はひどかったですね! ボロボロでした。いったいどうしたんでしょうかね! それに比べて4番の素晴らしかった事、これまたいったいどうしたんでしょうか! 3番で失敗したから4番は気を入れたんでしょうか。
 気が付いたら、1番を聴いた時のエコーがかかっているような感じがまったく無くなっていて音が変わっていました。ハンマークラヴィアから変わっていましたね! 気になるという事は、やはり1番はピアノを鳴らしすぎていたんでしょうか? 
11/07(月) 01:55

ベートーヴェン・プロ 
《ひろこ》さん
11月1日のシンポジウム、3日のプロジェクト2に続いて、昨晩のベートーヴェン・プロを聴きました。前から6列目、マエストロの横顔のほぼ正面というお席で、音はとてもよく届きましたが、低音部を弾く左手は見えませし、ペダルものぞき込まないと見えないという感じでした。舞台の上のスタインウェイにFabbriniの金文字がありません。ホールのピアノを使ったのはベートーヴェンのソナタによりふさわしい音だと思われたからでしょうか。1番のソナタの弾き始め、音が完全にだんごになってしまって、何を弾いてるのかわかりません。どうしたんですかマエストロ…今日はご不調ですか…と思っていると間もなく、主題部の繰り返しの後くらいから音の粒建ちがやっと出てきて、その後はどんどん明瞭な音になっていきました。私の席では、音は明瞭でどんなに速く弾いても声部はくっきりと弾き分けられてきこえるし、変化に富んだ音色も十分に堪能できました。でもコンサート後にお話をした数名の方は、速すぎる部分では音がだんごになってしまって構造がよくわからないところがあった、と言っておられたので、席によっては私が冒頭で感じた不明瞭感がずっとあったのかもしれません。心なしか最後の拍手の時のブラボーと盛り上がりがいつものコンサートよりも少なかったように感じましたが、席によって不明瞭な音しか届かなかったとしたら、マエストロは完全に本調子ではなかったのかもしれません。幸い、私の聴いたマエストロの音はいつも通りすばらしいものでした。高音部の煌めきはFabbriniスタインウェイほどではなかったようですが、それがむしろベートーヴェンのソナタにはふさわしかったかもしれません。重厚な低音部の響き、力強くもどこかやわなかなフォルテシモ、限りなく表情豊かな音たち。時々、今までのマエストロの演奏会で聴いたことがないようなあま〜い音がするんです。ノクターンの録音に入っているdolceな音の正体見たりという感じでした。マエストロ・ポリーニの音楽にあま〜いなんて表現はふさわしくない感じもしますが、マエストロはますます音色の幅を広げているようでうれしくなってしまいます。私はマエストロのハンマークラヴィーアを生で聴くのは初めてでしたので楽しみにしていました。全体にとても速いテンポでした。ベートーヴェンの示したべらぼうなメトロノームの指示に挑むかのように。音楽的表現が可能な範囲で、できるだけ速く弾きたいと考えておられるのかもしれません。これまで若き日のマエストロの録音はもちろん、他のピアニストの演奏でも何回となくこの曲を聴きました。実は私にとっては、スケールの大きな感動を味わいながらも、この曲が本質的に全然わかってないんじゃないかという不安に駆られる曲でもありました。過去から来たのか未来から来たのか、才気なのか狂気なのか、希望なのか絶望なのか…。昨晩のマエストロのハンマークラヴィーアはそんなものを包括する宇宙のような演奏でした。一生忘れられないハンマークラヴィーアです。
11/07(月) 18:22

まず、行ってきました 
《甘えん坊》さん
わたしと主人、今回この6日は1階ホール左側1列目に席を確保できました。ホント、ラッキーです。こんなことは滅多にないですよね。ポリーニをホントに間近に見られて良かったです。主人もしっかり堪能してました。

早速です、おじさん様、ハンマークラヴィーアの第1楽章の2つ目の音、しっかり右手で弾いてました。繰り返しの後もそうでしたよ。あれっ!?ここは。。。テクニックの心配というより、どうしてそうしたのでしょう?。音の速さを一致させるためでしょうか?。それとも、もう老齢ですから。。。そんな筈はないですよね、何か絶対意味があるはず。お若い頃はどうだったんでしょう?。
今日のポリーニ、そんなに調子はいいとはいえなかったのでは、と思います。まず、ピアノの調律が上手く行ってない?と思えるところが、ソナタの第1番を聴き始めてすぐに感じました。高音部の数音で音が中間音のようになっている?と思われ、最初はミスタッチ?と勘違いしたほどです。
1番第1楽章の最初のスタッカートはホントにボロボロだったと思います。個人的にはあんなにスタッカートにペダルを踏まないほうがもっときれいに聞こえるのに。。。とは思うのですが、ペダルの効果で音が分散、不協和音のスラー?とも感じられ、すごく痛ましかったです。そしてスタッカートと言えば、3番の終楽章の冒頭など。もうちょっときちんとした和音のスタッカートにして欲しかった。軽く鍵盤をたたいているためなのでしょうか?。それに加え、やはりペダルで音が分散。ちょっとここでも悲しかったです。どうして、曲の隅から隅までペダルを踏まれるのか。。。
でも、だんだん、調子があがったようで、全体的には素晴らしい出来でした。即興性を重視した演奏。まるでポリーニが一昔も二昔も前に戻ったようで、でも、この若々しさは今のポリーニだから表わせるものなんですよね、感激しました。
後半のハンマークラヴィーアは圧巻でした。とても速いテンポで、でも速いなかにも細部を隈なく表現し、その速さなのに音が重厚でもあり色彩的でもあり、そして落ち着きがありました。CDのより即興的でしたし、速さの追求?といった感じもしました。
すばらしいハンマークラヴィーアでした。満喫です。願わくば再録を。。。
初期ソナタ早く録音して欲しいです!。

余談ですけど、休憩時間主人がトイレに行った際、若い男性たちが、「何であんなに弾けるんだ?」と言っていたそうです。でも、そういう人たちもいる中、ステージに招待されていた?学生さん達?のなかには、演奏が終わっても全く拍手もしない人もいました。怪訝な表情をしながら。。。主人がちょっと不思議そうでした。
今日のポリーニはあまり体調がよくなかったのかな?と思いました。全プログラムを弾き終えたポリーニは、わたしの席からは斜めの角度でポリーニの表情が見えましたが、非常に疲れた様子でした。足取りもどこかふらついた感じが見て取れました、しっかり歩いているんですけどね。出てくるときの表情もあまり冴えない感じがしたのを覚えています。9日はいい表情で出てきてくれるといいなぁ。。。

11/07(月) 21:31

6日 後姿 
《えちゅーど》さん
久しぶりにカキコします。すみこさん、そして皆様お元気ですか。
6日、私は左側−2階LAブロックで聴きました。マエストロの真後ろです。
おじさん様はその対面あたりだったのでしょうか?
やはり残念ながら最後まで音が濁っていて、はっきり聞き取れない部分がかなりありました。
席によるものなのかと思っていたのですが、全てがそうではないようですね。
今回音は少しあきらめて、オペラグラス片手に演奏している手指に注目しようと思ったのですが
殆どがマエストロの身体に隠れ、見えませんでした。
見えたのは左右そろぞれ約1オクターブ半程・・・

たまに見える指、ソナタ3番のオクターブトレモロ
(腕の動きが生クリームを泡立てているかのよう)
体重をかけて弾くff、変に力まずに演奏しているマエストロの姿は後ろからでも素敵でした。
ポリーニでは初の生ハンマークラヴィーア、
特に息の長い4楽章を弾く集中力には参ってしまって
演奏が終わった後、思わず「うぁ゛ー」と言いながら拍手を送ってしまいました。
時々ミスタッチか?と思われるところや、ペダルの踏みかえと同時に弾いて音がならない
といったところもあったようですが、今回もポリーニには感謝感謝です♪
98年のベートーヴェンソナタ30〜32番リサイタルの時、2階RDブロックで聴いたのですが
今回以上に音が悪かったのを覚えています。
今後他の2階席、またはP席もチャレンジしようかなぁ。音、どうなんでしょう?
9日ショパンプロは1階席、早く風邪&熱を治して臨みたいです。

11/07(月) 22:18

雨の日のリサイタル 
《ともママ》さん
私も昨晩は1階中央前から3列目というゴールドシート(?)、とても幸運でした。そして今回は娘が若葉シートを手に入れることが出来たので、座席券との引き換えのために5時半頃からカラヤン広場に並びました。待っている間、何人もの人が当日券を求めてやってきて(ポリーニで当日券とは認識が甘いのか、キャンセル分が出ないかと藁にもすがる気持ちで来たのか・・)、ブラインドの閉じた窓口を見て落胆し、職員に問い合わせたりしていましたが、ほとんどみんな肩を落として帰って行きました。娘はそんな姿を見ていただけに、売り切れのはずの座席に少しですが空席があった(1列目のド真ん中の1席にもとうとう誰も現れませんでした・・)ことがもったいない!としきりに言っていました。

開演前・・。私の席のそばで、お互いに「先生」と呼び合っている男性2人組。その一人がなんと湿度計を持ってきていて、もう一人の「先生」とホールのコンディションについていろいろ話していました。(耳ダンボになる私・・。)
曰く、ピアノのリサイタルはもっと小さいホールでするのがふさわしいのに(それはそうでしょうが、そうなるとチケット争奪戦はますます熾烈を極めますよね・・。)、こんな大きい会場で、しかも2000人が雨の中大変な湿気を持ち込んでいる・・と言うのです。少なくとも、傘たてを全員分用意して傘と濡れた上着は持ち込み禁止にしなくてはダメだ・・と。
「こんな湿度ではピアノも狂うし、音もボケますよねェ。縦の線なんかちゃんとでないんじゃないですか・・?(どういう意味でしょう・・?)」
「ミケランジェリなんかだったらキャンセルするところかもしれませんよ。(・・そんな、まさか!雨だからってキャンセル?)」
半信半疑で二人の「先生」の話を聞いていたのですが、おじさん様の「エコーがかかっているように感じた。」、甘えん坊様の「調律が上手くいっていないような・・。」というご感想を読んで、高い湿度の影響もあるのかな・・と思いました。(初めのうちの方がずっと湿気が多かったでしょうし・・。)

前半の初期の2曲。立ち上がりはちょっと不安を感じるところもありましたけれど、だんだん調子を上げていきましたね。少し速すぎる気もしましたが、あのスピード感はポリーニがあの曲の中に求めるものなのでしょう。
後半のハンマークラーヴィア、夢にまで見たポリーニによるこの曲のライブ演奏。ポリーニはこの大ソナタを完全に、完璧に自分のものにしているなァと思いました。あれはあの速さで弾いてほしい・・、スリリングで躍動感にあふれているのにどっしりとした重みもあって素晴らしかった・・。軽やかな2楽章は心躍らせる演奏で、3楽章はよくうたいとてもロマンティックだったし、重厚な4楽章では本当に興奮させられました! 楽章間の対比も絶妙で、構成がしっかりとされている中に即興的なものがちりばめられ、やはりポリーニは最高のベートーベン弾きだと感じました。

最初のアンコールではちょっと「ずっこけ」もありましたけど、最後のバガテルは本当に愉悦のひと時でした。やはり幸福感に浸りながらホールを後にすることができました。

11/08(火) 00:56

Bravo e Grazie! Maestro!! 2005年の感動

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