オール・ベートーヴェン・プログラム
11月6日(日) 《東京:サントリーホール》
ピアノ・ソナタ第1番 ヘ短調 op.2-1
ピアノ・ソナタ第3番 ハ長調 op.2-3
ピアノ・ソナタ第29番 変ロ長調 op.106「ハンマークラヴィーア」
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アンコール:6つのバガテルop.126より第3番、第4番
11月6日 《おじさん》さん
さあベートーヴェンです。私は2階の右なので鍵盤はまったく見えない所ですが音は飛んで来る所です。ただ、響きが多くてちょっと戸惑いました。1曲目のop2−1は個人的には一番楽しみにしていた曲です。特に最初の第1音をスタッカートで弾くのか弾かないのか、とても興味が有った所です。最初のドの音は、スタッカートが書いてあるのと書いてないのが版によって半々ぐらいのような気がしますが、少なくともスラーは無し、次に出てくる左手の同じパッセージは、どの版も大体スタッカートが書いてあるので、次の2音目とつないではいけない所と個人的には考えています。ポリーニの第1音はとても微妙で、つながっているようないないような… 繰り返した時は完全にノンレガートだったので、少なくともポリーニは意識して弾いているのを感じられて安心しました。初期のソナタなので予想はしていましたが、全体的に早い演奏。響きが多い私の席では、中域の響きが残ってしまい、エコーがかかっているようで明瞭に聴く事はできませんでした。低域も薄い感じで、しかし右手の高域はとても綺麗に聴かせてくれました。すべての繰り返しをちゃんと演奏したので、第1楽章も第4楽章も2回弾く事になりますが、特に第4楽章の後半を繰り返されると長い演奏と感じる事がありますが、ポリーニの様に全体の構成がピシッとなっていると繰り返しが当然のように聴こえてくるから不思議で、初めてこの曲の構成がわかったような気がします。 2曲目のop2−3第1楽章は、カデンツァがあったりして、初期にしてはとても構成の大きな曲ですが、6日の演奏は、ちょっぴり可愛らしくてチャーミングに聴こえました。第2楽章はとても優しい演奏で、1993年に聴いた時に感じた後期につながる精神性を重視した演奏ではなく、ロマン派を思わせる明るい光という感じでした。第3楽章はメロディーの対比を意識しすぎたのか、表現に失敗している所もありましたが、最高のリズム感で生き生きとした効果が楽しかったです。「へい、いらっしゃい! いいネタあるよ! このマグロどうだい!」って感じで、目の前に新鮮な音楽を並べてくれたような気がしました。その乗りがそのまま第4楽章に続き、3番はとても嬉しい感じになりました。 さてハンマークラヴィア。私の席からは鍵盤がまったく見えないのでよくわかりませんが、第1楽章2つ目の音を右手で取ったような気がします。どなたか確認されているでしょうか? 冒頭の跳躍感は、左手のみで弾いた場合に表現できるので、決して安易に右手で取る様な事はしなかったのですが、もし右手で取っていたら心配です。第1楽章はそれが気になって集中できませんでしたが、第2楽章以降、ポリーニのボルテージもどんどん上がって最高でした。第2楽章は素晴らしかったし、第3楽章以降の表現は何と言えば良いのか… さっきの寿司のネタではないけれど、音楽が生まれている瞬間の積み重ねを何の夾雑物の無い素直な気持ちで受け取る事ができました。第4楽章は1998年程では無かったけれど、やはり盛り上がります。 これだけの曲目なのに、ポリーニの場合はあっという間に終わってしまう感じなので、残念な気持ちの所アンコールが2曲。ベートーヴェンのバガテルop126−3と4です。3番はひどかったですね! ボロボロでした。いったいどうしたんでしょうかね! それに比べて4番の素晴らしかった事、これまたいったいどうしたんでしょうか! 3番で失敗したから4番は気を入れたんでしょうか。 気が付いたら、1番を聴いた時のエコーがかかっているような感じがまったく無くなっていて音が変わっていました。ハンマークラヴィアから変わっていましたね! 気になるという事は、やはり1番はピアノを鳴らしすぎていたんでしょうか? 11/07(月) 01:55 |
ベートーヴェン・プロ 《ひろこ》さん
11月1日のシンポジウム、3日のプロジェクト2に続いて、昨晩のベートーヴェン・プロを聴きました。前から6列目、マエストロの横顔のほぼ正面というお席で、音はとてもよく届きましたが、低音部を弾く左手は見えませし、ペダルものぞき込まないと見えないという感じでした。舞台の上のスタインウェイにFabbriniの金文字がありません。ホールのピアノを使ったのはベートーヴェンのソナタによりふさわしい音だと思われたからでしょうか。1番のソナタの弾き始め、音が完全にだんごになってしまって、何を弾いてるのかわかりません。どうしたんですかマエストロ…今日はご不調ですか…と思っていると間もなく、主題部の繰り返しの後くらいから音の粒建ちがやっと出てきて、その後はどんどん明瞭な音になっていきました。私の席では、音は明瞭でどんなに速く弾いても声部はくっきりと弾き分けられてきこえるし、変化に富んだ音色も十分に堪能できました。でもコンサート後にお話をした数名の方は、速すぎる部分では音がだんごになってしまって構造がよくわからないところがあった、と言っておられたので、席によっては私が冒頭で感じた不明瞭感がずっとあったのかもしれません。心なしか最後の拍手の時のブラボーと盛り上がりがいつものコンサートよりも少なかったように感じましたが、席によって不明瞭な音しか届かなかったとしたら、マエストロは完全に本調子ではなかったのかもしれません。幸い、私の聴いたマエストロの音はいつも通りすばらしいものでした。高音部の煌めきはFabbriniスタインウェイほどではなかったようですが、それがむしろベートーヴェンのソナタにはふさわしかったかもしれません。重厚な低音部の響き、力強くもどこかやわなかなフォルテシモ、限りなく表情豊かな音たち。時々、今までのマエストロの演奏会で聴いたことがないようなあま〜い音がするんです。ノクターンの録音に入っているdolceな音の正体見たりという感じでした。マエストロ・ポリーニの音楽にあま〜いなんて表現はふさわしくない感じもしますが、マエストロはますます音色の幅を広げているようでうれしくなってしまいます。私はマエストロのハンマークラヴィーアを生で聴くのは初めてでしたので楽しみにしていました。全体にとても速いテンポでした。ベートーヴェンの示したべらぼうなメトロノームの指示に挑むかのように。音楽的表現が可能な範囲で、できるだけ速く弾きたいと考えておられるのかもしれません。これまで若き日のマエストロの録音はもちろん、他のピアニストの演奏でも何回となくこの曲を聴きました。実は私にとっては、スケールの大きな感動を味わいながらも、この曲が本質的に全然わかってないんじゃないかという不安に駆られる曲でもありました。過去から来たのか未来から来たのか、才気なのか狂気なのか、希望なのか絶望なのか…。昨晩のマエストロのハンマークラヴィーアはそんなものを包括する宇宙のような演奏でした。一生忘れられないハンマークラヴィーアです。11/07(月) 18:22 |
まず、行ってきました 《甘えん坊》さん
わたしと主人、今回この6日は1階ホール左側1列目に席を確保できました。ホント、ラッキーです。こんなことは滅多にないですよね。ポリーニをホントに間近に見られて良かったです。主人もしっかり堪能してました。
早速です、おじさん様、ハンマークラヴィーアの第1楽章の2つ目の音、しっかり右手で弾いてました。繰り返しの後もそうでしたよ。あれっ!?ここは。。。テクニックの心配というより、どうしてそうしたのでしょう?。音の速さを一致させるためでしょうか?。それとも、もう老齢ですから。。。そんな筈はないですよね、何か絶対意味があるはず。お若い頃はどうだったんでしょう?。
余談ですけど、休憩時間主人がトイレに行った際、若い男性たちが、「何であんなに弾けるんだ?」と言っていたそうです。でも、そういう人たちもいる中、ステージに招待されていた?学生さん達?のなかには、演奏が終わっても全く拍手もしない人もいました。怪訝な表情をしながら。。。主人がちょっと不思議そうでした。 11/07(月) 21:31 |
6日 後姿 《えちゅーど》さん
久しぶりにカキコします。すみこさん、そして皆様お元気ですか。6日、私は左側−2階LAブロックで聴きました。マエストロの真後ろです。 おじさん様はその対面あたりだったのでしょうか? やはり残念ながら最後まで音が濁っていて、はっきり聞き取れない部分がかなりありました。 席によるものなのかと思っていたのですが、全てがそうではないようですね。 今回音は少しあきらめて、オペラグラス片手に演奏している手指に注目しようと思ったのですが 殆どがマエストロの身体に隠れ、見えませんでした。 見えたのは左右そろぞれ約1オクターブ半程・・・
たまに見える指、ソナタ3番のオクターブトレモロ 11/07(月) 22:18 |
雨の日のリサイタル 《ともママ》さん
私も昨晩は1階中央前から3列目というゴールドシート(?)、とても幸運でした。そして今回は娘が若葉シートを手に入れることが出来たので、座席券との引き換えのために5時半頃からカラヤン広場に並びました。待っている間、何人もの人が当日券を求めてやってきて(ポリーニで当日券とは認識が甘いのか、キャンセル分が出ないかと藁にもすがる気持ちで来たのか・・)、ブラインドの閉じた窓口を見て落胆し、職員に問い合わせたりしていましたが、ほとんどみんな肩を落として帰って行きました。娘はそんな姿を見ていただけに、売り切れのはずの座席に少しですが空席があった(1列目のド真ん中の1席にもとうとう誰も現れませんでした・・)ことがもったいない!としきりに言っていました。
開演前・・。私の席のそばで、お互いに「先生」と呼び合っている男性2人組。その一人がなんと湿度計を持ってきていて、もう一人の「先生」とホールのコンディションについていろいろ話していました。(耳ダンボになる私・・。)
前半の初期の2曲。立ち上がりはちょっと不安を感じるところもありましたけれど、だんだん調子を上げていきましたね。少し速すぎる気もしましたが、あのスピード感はポリーニがあの曲の中に求めるものなのでしょう。
最初のアンコールではちょっと「ずっこけ」もありましたけど、最後のバガテルは本当に愉悦のひと時でした。やはり幸福感に浸りながらホールを後にすることができました。 11/08(火) 00:56 |
Bravo e Grazie! Maestro!! 2005年の感動