時々の雑記帳

音楽のこと、ポリーニのこと、日々の雑感を、
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このほかの日記帳はこちらを、すぐ前のものは「春」4〜6月を、後のものは「秋」10〜12月を、ご覧ください。

(7月〜9月)

猛暑にさよなら〜
今日は「白露」、秋の気配が漂い始める頃、ツバメが去る時、だそうです。涼しげで爽やかな言葉ですが、生憎くの雨、しかも台風のもたらす大雨・強風とは。台風が過ぎ去ってからは涼しさが増す・・・こともないようで、台風一過、また当分の間は真夏日がつづくとか。遅まきながら、残暑お見舞いを申し上げます。

ここ数年暑い夏が続きましたが、今年はまた一段とパワーアップ(?)した猛暑でした。連続猛暑日が史上初となり次々と更新され、毎朝のように熱中症警戒警報が発令され、水が熱くてプールが使えない、なんて笑えないことが起こったり。
日本だけでなく、世界中至る所で山火事が起こり、干ばつが進み、一方で台風やハリケーンのもたらす暴風雨や洪水、それに伴って土砂崩れが起こり、町が破壊され、多くの被害と被災者が出ました。

ビックリしたのは地中海に発生したメディケーン、地中海=穏やかな海と思っていたのに。ハリケーン、サイクロン、タイフーンの3大熱帯低気圧しか知らなかったけど、それより少し弱い亜熱帯低気圧のハリケーンが地中海には発生するそうです。今年はギリシャで大きな洪水の被害を出し、過去にはエジプトにも上陸したようですが、地中海の真ん中に位置するイタリアは、大丈夫なのでしょうか? 地中海の海水温は上昇しつつあるようで、今後はメディケーンの勢力も強まって行くのではないか、とも言われています。

冬のはずの南半球でも暑さ故の弊害が出たりと、もう、地球はどうなってしまったんだろう? という夏でした。そして、地球はどうなっていくのだろう?と。これまでの”異常”が”正常”となり、年ごとに更新され続けて重なっていけば、さらに新しい”異常”が生まれ、人類だけでなく地球上の生物の生存が脅かされる時が来るのかもしれません。多分、遠い将来、未来のことでしょう。でも元凶はこの我々の時代に、人間の営みに有るのだとしたら・・・。悲しく、遣る瀬無い思いになります。

ヨーロッパでも、熱波が襲い、スペインでは山火事が多発し、いつもは涼しいドイツでも暑い! リゾート地の地中海沿岸はもっと暑い!という状況だったようです。イタリアは? 北のミラノはそれほど暑くないかしら? マエストロはお元気かしら? と思っていましたが、あるfacebook(The Art of Maurizio Pollini。ポリーニ・ファンが集うページです)に載った記事で、一安心しました。
”Prima di andare in spiaggia...studio del clavicembalo ben temperato, secondo libro"(海辺に行く前に、バッハの平均律第2巻の勉強をする)という文と、ピアノを背景に黄色のポロシャツを着たマエストロの笑顔。どこか海辺の避暑地で、平均律の研究を日課としながら、ピアノとともにゆっくりと過ごされているのでしょう。少しお痩せになり、背も丸くなったようですが、お元気でピアノを弾いて、自然の中を散策されているのなら、なによりです。

一安心、と同時に、希望が、期待が湧き起こります。「バッハ:平均律第2巻」をポリーニの演奏で聴く日が来るのでしょうか。一夕の演奏会で弾くのがマエストロのご希望のようで、実現すれば本当に素晴らしいですが(聴きに行けなくても)、世界中のファンにとっては、録音していただけると、もっともっと、本当に嬉しい!ことですね。

先シーズンの最後の演奏会、ロンドンでは、マエストロは体調が優れなかったようですが、登壇されました。3月から延期されたリサイタルなので、キャンセルを重ねないように、と気遣われたのかもしれません。マエストロには不本意な演奏となってしまったようですが、聴衆は温かい、熱い喝采で応えたそうです。ポリーニのキャリアの最初期から活躍の地、ロンドン。聴衆との絆も信頼も、深いものなのでしょう。

この夏はのんびり、ゆっくりと過ごして、心身の調子を整えられているのでしょう。リフレッシュして秋のリサイタルに臨まれるよう願っています。パリ、チューリッヒ、ジェノヴァ。いづれもマエストロにとって親しみのある大切な街、新しいプログラムや意欲的な曲目を披露してきた街でしょう。愛奏する曲、弾きたい曲、聴衆に届けたい曲、新たに挑戦する曲も? お心の赴くままに、良いシーズンを迎えられますように!

ふと気がつくと秋の虫の音が聞こえます。そういえば、ここ数日は昼間のセミの声が絶えていましたっけ。色づいてきた木の実をお目当てに、鳴き交わす小鳥たちも多くなりました。夏から秋への交代は、確かに進んでいるようです。安心感と、晩夏・初秋のちょっと寂しい気持ちを抱きながら、鈴虫(松虫かな?)の透き通った音に耳を傾けましょう。そして夏の間あまり聴けなかった(蝉時雨がうるさくて)曲たちを、じっくりと味わいつつ過ごす秋にしたいと思っています。

2023年 9月8日 17:15
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