時々の雑記帳

音楽のこと、ポリーニのこと、日々の雑感を、
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(1月〜3月)

穏やかな日々を
初春のお慶びを申し上げます。今年もどうぞよろしくお願い致します。

厳しい寒さの年越しでした。日本海側の地域をはじめ北海道、近畿や中部地方の山間部でも異常な大雪や激しい吹雪で、道路は寸断され、交通機関もストップし、大変な状況だったようです。お見舞い申し上げます。
それでも久しぶりの帰省を果たし、懐かしい顔を見、笑顔を交わし合った方もいらしたでしょう。昨年よりは楽しく温かいお正月となったことと思います。
関東地方では例年晴天の三が日が多いですが、今年も穏やかなお正月を迎えられたのは有り難いことでした。初詣で歩いた道にハクモクレンの木がありましたが、大きなツボミが枝いっぱいについて、皆で空を見上げて春を待つかのよう。次第に膨らんでくる姿がこれからの散歩の楽しみになりそうです。

でも「目出度さもちう位(中くらい)也おらが春」(一茶)と、つい口に出そうな、なんだか気勢(?)の上がらぬ年明けでもありました。

日本ではコロナが昨秋から徐々に収まりつつあって、気分的には少しラクになり、いろいろ抑えてきた願望、何処かへ行きたい、あの人に会いたい、〇を食べたい、△と飲みたい(欲望?)が膨らんでいた・・・ところへ、冷や水を浴びせるように、オミクロン株が世界中に急速に広まりつつある状況です。
日本でも新年から次第に感染者が増え、各地でオミクロン株が見つかり、ついに1000人を超え、「全員入院」の方針が変わり(つまり医療放置がまた繰り返される?)不安な社会へ逆戻りしそうです。

ワクチン接種や治療薬の開発という人知・科学の進歩と、ウィルスの生存適性のための変異とが、シーソーゲームをしているかのよう。ウィルスには国境など無く人種や民族を問わず拡大していくのに、人間社会の方には対立や分断や格差で一枚岩では対応できないという脆さがあります。どの国も今さら「鎖国」が出来るはずも無く、全世界が一丸となって戦わなくては、ウィルスは根絶出来ないでしょうに。
パンデミックの他にも、環境・気候・核の問題など、地球には全人類が力を合わせなければならない問題が、山積しているというのに。

国内を見ても、なんだか訳の分からないことや筋の通らないことで、気が滅入ることの多い昨今です。「中ぐらい」目出たいだけでも、幸せなのかも(いや、お目出たいというべきなのかも)しれません。周囲で、日本で、更には世界で、皆が中の上くらいまで目出たさと幸せ度がUPするよう願い、良い一年となるように、良い一年にしたいと祈る、年の初めです。

さて、今日は1月5日。マエストロは佳き新年を迎え、幸せな80歳のお誕生日をお迎えのことと思います。
西の方、イタリアの空に向けて、お祝いの言葉を送りましょう!

Buon Compleanno!
Tanti Auguri per 80 Anni!

マエストロ・ポリーニ、80歳のお誕生日おめでとうございます!

幸多き一年でありますように、お祈りいたします。
どうぞお健やかに、お心に叶う演奏をなさいますように。
すばらしい演奏で聴衆に歓びを与えてください。

日本でいえば「傘寿」。親しい人達が集まって大いに寿ぎ、祝いの宴を設ける年齢です。ヨーロッパでも、10年ごとの歳のお祝いは行われるのでしょうか。「80歳を記念して」というリサイタルがロンドン、ザルツブルクなどで行われます。他の都市でも聴衆はお元気なマエストロを迎え、祝いつつ、その演奏を聴けることを待ち望んでいるでしょう。 5月にはソウルを訪れるスケジュールもあります。もう少し足を延ばして!と望んでいますが・・・。

昨年はアルゲリッチ、ムーティ、アッカルドさんなどマエストロと親しい友人が80歳を迎え、記念ツァーや表彰などお祝いを受けました。今年はバレンボイムも80歳になります。
錚々たる音楽家たちが生まれた年代、そして戦後の平和の中で、競い合い、友情を結び、各々の才能を見事に開花させた輝かしい時代だったのですね。

バレンボイムは今年のウィーンフィル・ニューイヤー・コンサートの指揮を執りました。インタビューに答える姿には少し老いを感じましたが、指揮台では元気な姿で素敵なワルツやポルカを聴かせてくれました。ウィーン・フィルの音色、豊潤さ、温かみのある響きを自然に引き出す熟練の指揮でした。最初に「フェニックス」を2曲演奏したのは、新しい年を迎え、音楽や社会の復活へのメッセージでしょうか。「不死鳥の羽ばたき」・・・美しい曲でしたね。
ムジークフェラインには、幾らか空席も見えたものの、かなり満席、密?の客席でした。昨年の無観客の状態から、少しずつ次第に増やしていった観客、その成果なのでしょう。 でも、欧米ではオミクロン株の感染力が急速に被害を大きくしているようです。この後、また縮小、無観客、閉鎖へと、向かうのかもしれません。

イタリアではミラノ・スカラ座やローマで、合唱団員の中にコロナ感染があり、キャンセルとなった公演があるようです。
フィレンツェでも1月4日の演奏会が急遽取りやめになりました。昨年から続いたメータが振る「ベートーヴェン・チクルス」の掉尾、第8番と第9番の演奏会でした。ただこちらは感染者が出て、ではなく、予防線を張って、のようです。
昨年末に開館した新しいホールに、メータさんの85歳を記念してその名を冠したばかりだったのですが、キャンセルとなってしまい、残念なことです。
19日にはポリーニが出演して、モーツァルトのピアノ協奏曲第27番が共演される予定です、無事に開催されるよう祈るばかりです。

ヨーロッパ各地の大都市で、演奏会を予定しているマエストロ・ポリーニ。どうぞ無事に行われますように、お元気で出演されますように、移動の際も安全に気を付けて!と心から願っています。

2022年のスケジュール表を作成しました。演奏回数はやはり多くはありませんが、プログラムは次第に発表されてきて(変更されたものもあります)、マエストロの「今、演奏したい」、「今、聴衆に届けたい」との思いが伝わってくるような気がします。

2022年、社会に平穏が訪れ、音楽界に活気が戻り、新たなものが生まれ出るような、素晴らしい一年となりますように!

皆様、どうぞお身体に気を付けて、良いお年をお過ごしください。

2022年 1月5日 17:30
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