時々の雑記帳

近所の公園を散歩すると、華やかな一画がありました。もう梅が咲いているのです。紅梅は艶やかに三〜四分咲き、白梅はチラホラと一〜二分咲き。いつもは二月初旬の景色なのに・・・。
“年越し寒波”の襲来で日本海側では大雪になった年末年始でしたが、関東地方では穏やかな晴天が続きました。いつもの長閑なお正月、と言いたいところですが、いろいろと制約のある三が日でした。近所に住む孫たちを家に迎えることも出来ず、ベランダ越しでの寸時の対面でしたが、元気な顔を見、声を聞くことが出来ただけでも、良し！としなければならないのでしょう。帰省は“自粛”して、例年とは違う年越しをされた方も多かったことと思います。
“新しい生活様式”はまだまだ続けなければならず、元の生活にいつ戻ることが出来るかは、全く不明。それに“元の生活様式”に戻ることが良いのかどうかも・・・。

失われた１年、という感じの2020年でした。多くの命が失われ、多くの活動が中止され（オリンピックは“延期”だけど）、職を失った人も多く、学校までも閉鎖される（子供たちの学びの時と場所が失われる）、前代未聞の経験でした。
コロナとの戦いの１年。原初の生命体と人類の闘いは、歴史上幾度も繰り返され、その都度一応（？）克服してきたとはいえ、長い年月を要しました。現代の人智をもってしても、ウィルスを克服することは簡単ではないことは、昨年の試行錯誤で思い知らされました。まだまだ続くであろうコロナとの日々、「打ち克った証としてのオリンピック」は、一体、いつ、開かれ得るのでしょうか？

露わになったことも沢山ありました。日本のリーダー達のメンタリティの有り様。理念・能力・政策に欠け、責任感や誠意さえ無くてもまかり通る社会。一方では目を覆いたくなる社会の分断、凄まじい格差、痛ましい貧困、そして失われた生命。

得たことも有ると思いたいですね。リモートやオンラインで、多くのことが可能だったこと。仕事が家で出来る。スポーツのイベント、音楽・演劇など、観客や聴衆が必須と思われていたことも、電脳世界を通じて行われ得ることが判りました。リモートでも繋がり合える、思いを交わし合うことも、悲しみ・悩みを分け合うことも、出来ることが判りました。
逆に、それが人を傷つけることもあるのは、悲しいことです。これから不可欠となる電脳世界を利用するために、人間の成熟と社会の公正な仕組みが、本当に必要と思わされました。

今年こそは！　失われた時を取り戻し、明るい社会、温かい社会、より良い人間的な社会に、新しい社会になって欲しいと、切に願います。

さて、今日は１月５日。マエストロは佳き新年を迎え、幸せにお誕生日をお過ごしのことでしょう。
西の方、イタリアの空に向けて、お祝いの言葉を送りましょう！

元日にウィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサートをTVで見ました。観客の居ない黄金のホールに、ムーティの指揮で美しく輝かしい音が満ちるのを想いながら、生き生きとした演奏を楽しみました。そして同じイタリアの同年代のムーティさんのお元気そうな指揮姿に、安心し、力づけられました。マエストロ・ポリーニもお元気で過ごされているにちがいない、と。
ちなみに、ムーティとポリーニは50年前、パレルモのテアトロ・マッシモで共演をしているそうです。ムーティのマッシモ・デビューと書かれていましたが、おそらくポリーニもこの時が最初だったのでは。若々しい二人の“晴れ姿”だったのでしょうね。

ウィーン・フィルのメンバーの話では、オーケストラの独特の響きを大切に、その響きを変えないよう、聴衆の期待を裏切らないように、演奏会は行えなくても、いつも感染対策をして練習を重ねているとのこと。
ポリーニもきっとご自分のピアノの響きを大切に、演奏する心を深め、真摯に楽譜に向き合う日々を、静かに送っていられるのではないでしょうか。いつの日か、聴衆との再会を信じて。
私達も、信じています。その時まで、マエストロも皆様も、どうぞお健やかにいらしてください！

2021年のスケジュール表を作りました。演奏会の数もまだ少なく、曲目未定ばかりですが、ご覧ください。とはいえ、コロナ禍発生前の契約だったのでしょうから、この困難な状況の下、予定通りに行われるかどうか・・・。無事に開催されることを願いつつ、でも何よりもマエストロの健康・安全が第一、お元気でお過ごしください！と祈るばかりです。