今年の桜は長く楽しめました。と言っても東京でいち早く開花宣言が出たものの、なかなか開花が進まずヤキモキする時間が長かった、咲いた後は風雨にさらされ、いつまで花がもつか、お花見が出来るか、ハラハラする時間が長かった・・・。
まあ、結果的には入学式の頃に満開で、めでたし、めでたし!でした。桜吹雪を浴びて春爛漫と思ううちに、小さな若葉がどんどん育ち、今や爽やかな緑が視界いっぱいに広がる初夏の景色です。自然の成長力が一番感じられる、美しい季節ですね・・・。
ここ数日、ポリーニのスケジュール表を何度か更新しました。
3月半ばのアムステルダムのリサイタルは高熱のためキャンセル(ブレハッチが代りました)。でも、10日ほどのちのフランクフルトとベルリンでは無事に開催され、素晴らしいオール・ショパン・プログラムを披露したそうです。
ドイツへ聴きにいらした方からのメールでは、2月のケルンではソナタ第3番はやや慎重に、丁寧な弾き方だったが、回を追うごとにフレーズの歌わせ方にのびやかさと自由さが増し、ベルリンでは息の長いフレージングにポリーニの音楽の醍醐味を味わえた、とのこと。特に第4楽章はエネルギーと推進力、躍動感に溢れて、圧巻だったと。スタンディング・オヴェーションに応え、アンコールは壮大なバラード第1番。
なぜか、このドイツの3都市すべてで、ソナタ第1楽章の後で拍手が起こったそうです。ちょっと珍しい“現象”ですね。それほど聴衆の心をつかみ、熱くする演奏だったのでしょうか。
実は、3月半ばのロンドンのリサイタルを聴かれた方から、ご感想をメールで伺っていました。
シェーンベルクとベートーヴェンのプログラムで、シェーンベルクの短い曲は氷のかけらのように静かで美しく、会場からはため息が漏れた、とのこと。ベートーヴェン「悲愴」では、少し技巧的に危ない箇所もあったようですが、後半は次第にポリーニらしさを発揮し、最後の「熱情」は、凄まじい文字通りの“熱情”で、終わるや速攻ブラボー、ほぼ全員のスタンディング・オヴェーションだったとのこと。
ベルリン在住の方と一緒に聴かれたそうですが、紳士淑女のイギリス人がこれだけブラボーするとは、と驚き、ドイツではまずこんなことは起こらない、と感心していた、とのことでした。
イギリス人を、ドイツ人をも、熱狂の渦に巻き込むとは! マエストロ・ポリーニは、彼の音楽は、“奇跡”を起こす力を持っているのでしょうか。。。
さて、スケジュールに戻ります。辛いお知らせをしなければなりません。
急遽エクサン・プロヴァンスのリサイタルが発表されました。ミンコフスキ(指揮)が降板して、その代わりを引き受けられたのです。ところが、そのすぐ後にキャンセルの報が・・・。転倒して腕を傷めた、とのこと、1ヶ月の休養となるようです。嗚呼! お足もとには十分に、十二分に、もっともっと、気を付けてください、マエストロ!!
アルゲリッチとコワセビッチが、代わって演奏するそうです。アルゲリッチがキャンセルした時にはポリーニが代役を務めたことがありました。2人の大ピアニストの、長い友情の証しなのでしょう。
次のパリのリサイタルは、今のところキャンセルの報はありません。
5月のアメリカのリサイタルについては、室内楽は前からキャンセルになっていました(公演は行われ、ブロンフマンがピアノのパートを受け持ちます)が、リサイタルはそのまま告示されています。
また、カーネギー・ホールでも、ドビュッシーでなく、オール・ショパン・プログラムに変更されました。
1か月の休養を経て、すっかり恢復されて、無事にアメリカ・ツァーを行われますように!!(でも、無理はなさらずに!)
音楽の力、不老長寿に効く力が、どうか怪我にも効きますように!! 本当に、祈る思いです。
11月のミュンヘンに続き、来年2月のチューリッヒも発表されました。早く怪我を克服し、体調を整えて、夏の音楽祭も、来シーズンも、活躍していただきたいです。
今回、大変遅くなりましたが、やっと、2016年の来日について、まとめました。スキャナが上手く使えず、写真がキレイに録れず・・・なかなか進められなかったのですが、やっと、なんとか、形が付きました〜。
掲示板に寄せられたご感想も、載せさせていただきました、ご協力に感謝いたします。