金木犀の季節となりました。どこからか良い香りが漂ってきて、初めは鼻をヒクヒクさせ、黄色い小花を探しながら歩いていましたが、今は空気がすっかり芳香に染まっているようです。優しい香りに包まれると、気持ちも和みます。「音と香りは夕暮れの大気に漂う」・・・という題を思い出しますが、フランスの秋は何の香り、どんな音?
爽やかな秋晴れ、と言いたいけれど、昨日は残暑厳しい日、今日は霞がかった曇り空となりました。秋の空は変わりやすいのですね。落ち着いた秋の日を過ごしたいけれど、あの賑やかな(?)選挙戦も始まりました。こちらも変わりやすい潮の流れ、混沌として、どうなることやら・・・。
さて、マエストロは今シーズンの活動を、ベルリンで始められました。バレンボイム指揮のシュターツカペレ・ベルリンと共演で、シューマンのピアノ協奏曲、久しぶりの演奏です。
会場のStaatsoper Unter den Lindenは、改装されて再オープンしたばかり、オーケストラの演奏会としても、最初の夕べだったようです。
素晴らしい音響の本拠地を得て、シュターツカペレ・ベルリンはバレンボイムの指揮のもと、Widmann作の現代音楽"Zweites Labyrinth fur Orchestergruppen"で、珍しい楽器も交えて妙技を披露し、2曲目のシューマンの協奏曲では、美しい音のアンサンブルでピアノに応え、ソリストを支えたとのこと。休憩後のドビュッシー"管弦楽のための映像"は、美しい音色、アンサンブル力、そして表現力で、本領発揮とばかりに名演を繰り広げたようです。
マエストロ・ポリーニの演奏は、曲の構築的な面を重視しつつ、内面を聴き取ろうとした演奏だったようです。早めのテンポで進み、ディテールはやや飛ばしがちだったとか。バレンボイムとあらゆる瞬間に協調し合い、木管奏者はシューマンの豊かなメロディに耽れば、ポリーニも共に歌っていた、と。「全ての角が丸くされた(=完成された)」演奏だった、とある文にはありました。
この演奏会は、隣接する公園ベーベルプラッツで生中継され、自由に聴くことができたそうです。また、Kulturradioで録音されており、12月25日20:04(ドイツ時間)から放送されるそうです。日本時間だと12月26日午前4時04分。素敵なクリスマス・プレゼントですね。(下記のページで、"LIVE HOEREN"ボタンを押してください。)
http://www.kulturradio.de/rezensionen/buehne/2017/10/Staatsoper-Staatskapelle-Barenboim-Pollini.html
翌日はフィルハーモニーで同じ曲目での再演。弾き慣れた、音響も知り尽くしたホールでの演奏は、きっとまた、素晴らしいものだったでしょう。
9日はパリでのリサイタル。ここではシューマン「クライスレリアーナ」が、やはり久しぶりに演奏されました。ポリーニの美しいこの曲の演奏、聴きたかったです・・・。
来年3月のロンドンでは、シューマンのソナタ第3番(管弦楽のない協奏曲)がプログラムに入りました。後半はショパンのソナタ第3番など、聴き応えあるリサイタルになります。
シューマンの作品に、また新たに魅了されたかのように、熱心に取り組むマエストロ。
次のシーズンに予定されている来日公演でも、ぜひ演奏していただきたいと、切に望みます。
10月の演奏会はこれで終りましたが、もしかすると、29日にハンブルクのエルプフィルハーモニー大ホールで行われる、ECHO KLASSIKの授賞式に、登場されるかもしれません。そして、もしかしたら、演奏をなさるかも(不確定なことばかり書いて、すみません)。その模様はZDF(テレビ)で中継されるのですが・・・残念ながら、日本では見られませんm(_ _;)m。
今回の更新は、まだ詳細は分からないものばかりですが「2018年のスケジュール表」を作りました。また、ECHO KLASSIKの受賞を「レコード賞の受賞」に付け加えました。