時々の雑記帳

音楽のこと、ポリーニのこと、日々の雑感を、
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(7月〜9月)

猛暑の中のリサイタル
猛暑日、熱帯夜が続いた異常に暑い今年の夏。それでも秋雨前線という秋の使者(?)が姿を見せ、やや凌ぎやすく感じられるここ数日です。でも、今度は台風が2つも日本列島を狙っている・・・大風や豪雨などの被害の起こらないことを願うばかりです。
身体の疲れと共にちょっぴりメランコリックな気分にもなる「晩夏」、秋のポリーニのDVDリリースを(更には来春を!)楽しみに、清涼な空気と爽やかな空を思い浮かべて、もうひと頑張りしましょう!

夏の音楽祭、ポリーニのリサイタルは、リューベックとザルツブルクの2回。どちらも無事に成功裡に終わりました。
8月4日リューベックに聞きに行かれたJanさんから、速報メールを頂きました。

「暖かいスタンディング・オヴェーションが起こり、2つのアンコール(バガテルop.126の3と4)がありました。」
「“テンペスト”の第1楽章のレシタティーヴォは全く未来の響き(sounding truly futuristic)で、素敵でした。」
「シェーンベルクはとても美しい音で、(いつものように)CDよりも早い、より自由な演奏を楽しみました。」
「ポリーニの若々しいパッションとリスキーな演奏のレベルに、いつも驚かされます。特に“熱情”の第3楽章とアンコールの2曲目は本当に極限的(at the limit)で、素晴らしかったです。」

新聞評も目にしましたが、とても感動して称賛する温かい評の一方で、ミスタッチなどを指摘する文もあったようです。
Janさんのメールにも「多分ザルツブルクでは、もっと満足のいくものになるでしょう」と書いてありました。

そして5日後のザルツブルクでは。
新聞評には、1973年にこの音楽祭にデビューしてからほぼ毎年(2、3年を除き)出演していることを挙げ、「ポリーニはこの音楽祭に、欠けてはならない人だ」とか、「毎年、今年もまた、彼の演奏会はGlanzpunkt(頂点、極致)だった」というような評を見かけました(猛暑の中で、ドイツ語を集中して読む気になれず・・・ほ〜んの少しばかりの拾い読みでスミマセン)。

幸いにも、聞きに行かれた方からメールをいただきました(ありがとうございました!)。ホール中が熱気に包まれた、本当に感動的な演奏会だったようです。その情景を思い浮かべて頂きたく、少しメールから引用させていただきます。

「ザルツブルクでのリサイタルは、ほぼ満席で、まだ夏の日の高い5時からの公演であったにもかかわらず盛装なさった方々も多く(中略)とても優雅な贅沢な雰囲気でした。」
「マエストロは紺色のスーツに黄色い(お気に入りなのでしょうか)ネクタイといういつもながらのスタイリッシュなお姿で登場なされ、テンペストでこの日のリサイタルを始められました。
(中略)弾き急ぐ事の無い、大きな美しい演奏でした。途中でドキッとするほどのミスというのか止まりそうになった箇所があったのですが、なんだかマエストロはそうお気になされたご様子でもなく、重く艶のあるテンペストを弾き続けられました。(中略)嵐の怖さとそれでいてどこかロマンティックな風景を描き切られたテンペストでした。」

「もうすでにブラボーが叫ばれ、笑顔で一旦袖に戻られた後、シェーンべルグの小品が演奏されました。
ほんとうに美しい、うっとりする、ウィーンを彷彿させる演奏でした。音がどこまでも透明で鋭いのに広がりと奥行きがあり、どこか不安で暗いのに儚気な素晴らしい演奏でした。

またもや大拍手と大歓声とブラボーが巻き起こりました。」

「後半は2楽章だけのソナタで始められ、このあとに熱情が演奏されました。この演奏も、鋭利さと重量感、激しさと優美、激情と絶望のような様々な表現がめくるめく現れる素晴らしい演奏でした。」

「初めて曲が終わるや否やの一斉ブラボーと言うものを聞きました。そして床が抜けてしまうのではないかと思う程の足踏みも。マエストロも本当に嬉しそうな笑顔で、御機嫌の本当に良い時になさる客席に向かって両腕を広げられるジェスチャーをなさり、それにまた応えてのブラボーと足踏み。。。なんだか涙が出てしまいました。
大きなミスがあっても、途中で止まりそうな箇所があっても、マエストロを愛してその音楽の神髄を楽しむという、貧しさの無い精神の豊かさを感じてでした。

アンコールはバガテルの2曲。これも途中で音が転びそうになることもありましたがマエストロも聴衆もおかまいなし、両曲ともにスタンディングオベーションで立ったままの足踏みという曲芸も聴く事が出来ました。」(後略)


足踏みのオヴェーション。日本の聴衆は絶対やりませんね。でも、そうしたくなるような演奏に出会えたら・・・本当に幸せでしょう。聴衆も、そして演奏者も。マエストロの本当に嬉しそうな笑顔を、日本でも、また見たいですね!

今回は"2015-2016 Season"のページを作成しました。“April Japan”もちゃんと(ちゃっかりと?)入れときました〜。

2015年 8月19日 15時20分

梅雨明け十日=猛暑(?)
大型台風が日本を襲い各地で大雨の被害をもたらして、通過後も曇り空に時々雨、蒸し暑い日が続いています。
夏休みが始まったのに、なんだか浮かない気分・・・って、うちは夏休み、関係なかったっけ。でも、心が軽くなるような、カラッと晴れた青い空を見たい・・・明日は? と思ってカーテンを開けたら、大きな虹が出ていました。道行く人は傘を差しているけど、西の空はオレンジ色に染まって。
虹を見るのって、なんだかラッキーッ! 明日は晴、きっと猛烈に暑い日になるのでしょうけれど。

6月初旬のウィーンから、8月4日のリューベックのリサイタルまで、ほぼ2ヶ月がマエストロの夏休み。心も体もユックリとリラックスして過ごしていらっしゃることでしょう。腱炎もすっかり治して、夏の音楽祭、秋の公演旅行に備えていただきたいものです。
とはいえ、音楽祭ではベートーヴェンとシェーンベルクを、秋のアメリカ・ツアーでは久しぶりにシューマン「アレグロ」、「幻想曲」を取り上げるマエストロ、曲の探求にも余念がないのかもしれません。ともあれ、ご自宅(あるいは避暑地?)でご家族と一緒に、楽しい夏を過ごされますように。

“ご家族”といえば、子息のダニエーレさんの活躍がWebに載っていました。シエナで7〜8月に行われるキジアーナ音楽祭、数年前までマエストロ・ポリーニもよく出演されていた由緒ある音楽祭です。
その開幕間もない7月13日、シャリーノの作品「謝肉祭」に、ダニエーレがピアノ演奏で出演しました。2012年のポリーニ・パースペクティヴ(ルツェルンの初演、また東京で、その後パリ、ベルリン、ミラノで)でも、彼が見事な演奏を披露しましたが、この時は委嘱された新作10〜12番の3曲のみでした。今回はその全曲(12曲)の初演となります。
1〜9番はニューギニアの詩人の詩に付けられたマドリガーレの連作で、こちらにピアノ・パートがあるかどうかは判りません。一方10・12番は中国の古い書を元にしたテキストが歌われ、11番は器楽のみの曲です。
10番はダニエーレへ、ピアノが活躍する11番はマウリツィオへ、12番はマリリーサへと、それぞれポリーニ一家に献呈されています。
他の演奏者たちもパースペクティヴで活躍した、指揮者のチェッケリーニ、器楽はクラングフォーラム・ウィーン、声楽はシュトゥットガルト・ニュー・ヴォーカル・ソロイスツのメンバー達。
もしかしたら、マエストロも奥様も、親しいシャリーノの作品の全曲初演に、そして勿論ダニエーレの演奏に、シエナに聴きに行かれたかもしれませんね。

今回の更新は、ポリーニのインタヴューのページを作りました。6月半ばにWebのFAZ.netに掲載されましたが、Frankfurter Allgemeine Zeitung紙にはもっと早くに載っていたのかもしれません。5月のフランクフルトでの演奏会の折にでも行われたのではないでしょうか。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集完成について、ベートーヴェンについて、ソナタについて、熱心に語っています。
それから、来年のウィーンの演奏会は、当初5月半ばとなっていましたが、実は6月11日であると判りました。スケジュール表には先に直しておきました。

昨日の虹の予言(?)通り、関東甲信越地方は今日梅雨明け。猛烈に暑い日が続きそうです、皆様体調に気を付けてお過ごしください。

2015年 7月19日 15時10分

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