時々の雑記帳

音楽のこと、ポリーニのこと、日々の雑感を、
時々(気まぐれに)、書き入れます。

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このほかの日記帳はこちらを、すぐ前のものは「夏」7〜9月を、後のものは「冬」1〜3月ご覧ください。

(10月〜12月)

梅が咲き椿が咲いて冬が来た?
12月半ば、高松では梅が、仙台では椿が咲いたと報じられました。暖冬といわれる今年の冬。でも数日ごとに北から寒気が流れ込んで北風、大雪をもたらし、また次には湿った南からの風が雨を連れてきます。暖かさと寒さがめまぐるしく入れ替わりながら、晩秋から初冬、真冬へと季節は進んで行くようです。
師走も半ばを過ぎ、時間の流れも速くなったようで、もう、クリスマスまでまっしぐら、その後は新年まで超特急。。。

マエストロはルツェルンのピアノ・フェスティヴァルとバーデン・バーデンのリサイタルを終えて、ノンビリとクリスマスへの日々を過ごしていらっしゃるでしょうか。
ルツェルンの評は「火の代わりに暖かさ」とタイトルにあり、シューマン「幻想曲」を激情的ではなく抒情的に演奏し、素晴らしい詩情、暖かみをファブリーニ・シュタインウェイから引き出したと、感嘆しています。ショパンの4曲のノクターンは、メロディーと伴奏の素朴な型を美しい多くのヴァリアントに変え、左手の次々と変わる和声の動きから、右手の滑らかなメロディーが新たな光の中に浮き上がるようだった、と。幻想ポロネーズでは曲の洗練された和声と多層をなす形式の推移を繊細に感知して追うことで、深い印象を残した、とありました。 バーデン・バーデンの演奏会は、聴きに行かれた方がアンコールを知らせてくれました。「革命」のエチュードとバラード第1番、十八番の2曲で今年の演奏会を締めくくられたそうです。

来年の各地でのリサイタルも、プログラムが発表されてきました。シューマンとショパンにドビュッシーが加わったプログラム、とても魅力的です。ショパン後期の聴き応えある曲達の、組み合わせにも興味を惹かれます。
日本公演も詳細が発表されましたが、ヨーロッパ各都市で披露される2つのプログラムを一挙(?)に聴けるなんて、嬉しいですね〜〜。
新たな日程も一つ判りました。6月に「プラハの春音楽祭」に出演するとのこと。久々の、でしょうか、初のでしょうか・・・。

今年を漢字一字で表すと「安」??? ちょっとビックリしました。不安な社会、反安保法案、不安定(?)なマンション・・・「安」を否定するような言葉はどんどん出てくるけれど、安心とか、安泰とか、安全とか、安らぎなどという言葉は思い浮かばない世相でした。確かに「安」倍ノミクスは声高に言われていたけれど。。。。
戦後70年、曲がり角を曲がってしまった年。ある人が「戦後○年が、ずっと続いて欲しい」と言っていたけれど、本当に、そう思います。戦前の空気に似たものが醸し出されているような不安感、閉塞感。しかしこれから来るかもしれない「戦前」は、もっと想像を超えた過酷なものになるだろう、という怖れ。
世界の平和のために何ができるのか、と思うと、何も出来ないという無力さに襲われますが、平和憲法を掲げる(今はまだ)国として世界に対峙する日本の有権者として、できることを一つ一つやるしかない、のでしょう。来年、春、マエストロを迎える時に、平和で安全な国、街でありたい、そうでなければならない、ですものね。

この一年、お訪ねいただき、ゲストブックへご意見やご感想をお寄せいただきまして、ありがとうございました。忙しさに追われて、なかなか更新もできず、ご投稿やメールへの返信も滞りがちになりましたこと、お許しください。
来年は、もっと楽しいサイトにしていけると良いなぁ・・・ポリーニ・イヤーですものね!

皆様、どうぞお元気で、良いお年をお迎えください m(_ _)m

2015年 12月21日 3時15分

紅葉を楽しみたい
穏やかな秋晴れが続き、我家から見える桜の木も日ごとに枝先から紅葉を増してきました。秋の深まりを感じさせる日々です。異常気象だったこの夏から秋、早い冬の訪れ・・・一雨ごとに寒さを増し、北からは雪の便りも届くころ、長閑な秋を楽しめるのはあと僅かかもしれません。巷ではもうクリスマスのライトアップ、紅葉も夜は青白い光に染められてしまうのが、なんだか可哀想。

マエストロは秋のアメリカ・ツアーを無事に、成功裡に終えられました。
初日のシカゴの演奏会には、"Lovely playing, rote reading"という評がありました。素晴らしい演奏、機械的な読み・・・? 美しい演奏だった、が、早い個所はとても早いが、早いばかりで感情が籠ってはいない、というような評でした。あまり本調子ではなかったのでしょうか・・・。

ニューヨークではどうだったのかしら、体調は如何? と気になりましたが、幾つかポジティヴな評を見て安心しました。
そこへNYの3回の演奏会を全て聴かれた方(羨ましい!)からメールを頂きました。どれも大成功の素晴らしい演奏会で、2回のリサイタルの後にはサイン会も行われ、長蛇の列のファンに対応されたとのこと。マエストロがお元気で、ご機嫌麗しかったようで、本当に良かったです!

最初のリサイタルの評には、"Maurizio who?"というようなタイトルがありました。エッ、なに???
「勿論、有名な“ポリーニ”である。だが、演奏会が終わってまず名前が浮かんだのは“ショパン”であり、“シューマン”であった、それほど作品の真実に迫り、作曲家の心を表した演奏だった」というような高い評でした。アンコールは「革命」、バラード第1番、ノクターン第8番(シカゴも同じでした)。

ショパンの協奏曲は、ミスタッチなどもあり、若い時の輝かしい完璧な演奏とは異なるが、詩情に溢れた美しい演奏だった、ニューヨーク・フィルとは20年ぶりの共演だが、失われた時を越えて再び絆を結んだ、と。ギルバート指揮のオーケストラのサポートも素晴らしかったようです。

ベートーヴェンとシェーンベルクのプログラムでは、音楽の新しい道を切り開いて行った両作曲家の共通性が感じ取られ、アンコールのベートーヴェンのバガテル(op.126の3番、4番)は、シェーンベルクの小品のようにアフォリズム(警句)的であった、と。
「熱情」は以前(2013年)の演奏ほどの恐るべき首尾一貫性は減じていたが、やはり並外れたテンションを維持し、あたかも鋼鉄のワイヤーの巻きが解けていくかのようだった、と。
他の評も、「ポリーニは衰えてきたという批評家もいる、が、そんな不平を言うのは、何十年にもわたる経験が彼の演奏にもたらした賢明さを見失うことになる、それは技巧的にも感情(情緒)面でも、驚嘆すべきもののままである。」そして「ニューヨークは、この素晴らしいピアニストに、可能な限り、シーズン毎に訪れて欲しいと願う。」と結んでいました。
何処も同じ、ファンの願い、ですね。

晴れの特異日と言われる文化の日。芸術の秋、私も少しは文化的でありたいと、青空のもと音楽を聴きに出掛けました。トゥガン・ソヒエフ指揮のベルリン・ドイツ交響楽団の演奏会、久しぶりのサントリーホールです。
曲目はメンデルスゾーン「フィンガルの洞窟」に続き、ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」。ピアノはユリアンナ・アブデーエワさん、とても素晴らしい演奏でした。重厚感のあるオケと対等に渡り合うパワー、見事なカデンツァ、美しい繊細な響きでオケとの対話を楽しみ、協奏曲の醍醐味を味合わせてくれました。アンコールに「雨だれ」。音楽に真摯に向き合う、実力あるピアニスト。5年前のショパン・コンクールの覇者ですが、派手さに流れず、着実に歩みを進めているようです。
休憩後は、ブラームス「交響曲第1番」。柔らかい音から重く底深い音まで、層の厚いピタリと息の合った弦セクション、夢のような美しい音、輝きのある音色の管楽器たち、パワフルな打楽器・・・しなやかな指揮に導かれて、ドイツ的でロマンティックな美しいブラームスを堪能させてくれました。オール・ドイツ・プロで本領を発揮した素晴らしいオーケストラ。アンコールにグリーグの弦楽合奏曲、最後は「フィガロの結婚」序曲の祝祭的な演奏で、充実した時間を楽しく締めくくってくれました。
満たされた気持ちで、サントリーホールを後にしました、また来年4月に来ま〜す! と思いながら。

ショパン・コンクールといえば、今年の第17回は韓国のチョ・ソンジンさんが優勝を飾りました。近年はアジア系のコンテスタントが多いようですが、ダン・タイ・ソン、ユンディ・リに続いて3人目のアジアからの優勝者です。21歳の青年はどんな演奏者に育って行くのでしょう、楽しみです。

今回の更新はスケジュール表に曲目などの変更・追加をしました。日程では来夏のルツェルン音楽祭の演奏会が決まっています。

2015年 11月8日 0時35分

爽やかな日に
久しぶりに穏やかな秋の日。金木犀の香りに誘われて歩き、コスモスの揺れる野を見に行きたい・・・。日頃の運動不足でメタボが気になる身ですが、10月は晴天の下で少〜し活動的になろうかしら。運動会や遠足(つい子供目線で。大人ならスポーツやハイキング、ですね)などを楽しめる日が続くと良いですね。
先月はトリプル台風や観測史上初の豪雨・洪水や爆弾低気圧やらに襲われた日本列島でした。自然のもたらす脅威の被害はあまりにも大きく、呆然とするような光景を目にしました。数週間経った今も被災地はまだ復旧の緒も見出せぬまま、生活の基盤を失った人々には僅かな援助しか為されないまま、時が過ぎて行きます。ボランティアの方々の働きには本当に頭が下がりますが、ここは市や国、行政がもっと積極的に関わるべきでは・・・。温かい血の通った施策が行われますように、平穏な日々が早く取り戻せますようにと、願うばかりです。

そして天候だけではなく、この社会の根幹も揺れ、ついには破壊も行われた9月でした。大多数の国民の理解を得られぬまま(得ようともせぬまま)、反対の大きな声も全く無視されたまま、強行採決という荒っぽい手段で、解釈で憲法を変える、平和憲法を骨抜きにするという暴挙がなされました。国会前に集まっていたのは、次(次々)世代に平和な日本を引き継ぎたいと願う中高年齢者、子供達の未来を守りたいと願うママ達のグループ、落ち着いた社会・平和な世界で経済活動を担いたいと願う働く人達、理の通らぬやり方に納得できない学生、研究者・・・普通の市民達でした。見過ごすことが出来ないと、止むに止まれず集まった人達でした。9月19日真夜中、安保関連法案の成立。歴史の曲がり角を曲がってしまった絶望感と深い悲しみに襲われます。でも、まだ出来ることがあるのなら、何とかして「平和憲法」を取り戻したいと、切に思います。普通の市民の中に生まれた動きが、熱い想いが、いつか実を結びますように、祈らずにはいられません。
賛否の意見は様々でしょうし、ここに書くべき事柄ではないのかもしれません。でも社会・政治に深い関心を寄せるマエストロ・ポリーニなら、きっと理解して下さる、と記しました。

さて、10月はアメリカ・ツァーを行うマエストロ。実は9月のドッビァーコでの演奏会は、掲示板でお知らせしたように1週間延期されましたが、その後キャンセルとなりました。
体調の快復が心配されましたが、アメリカでのリサイタルは予定通り4日シカゴから開始されるようです。ニューヨークでは2回のリサイタル、シューマンとショパン、そしてベートーヴェンとシェーンベルクの2種類のプログラム。ニューヨーク・フィルとの共演はショパンの協奏曲。3回とも聴けたら・・・素晴らしいでしょうね〜〜〜。
その後、ストラスモアでのリサイタルが予定されていましたが、これは日程上の都合によりキャンセル(代わりの日程を探る、とのことですが)となりました。何が、あるのか・・・ちょっと気掛かりですが、ともあれ、4回の公演が無事に行われることを、心から願っています。

今回は2016年の予定表をアップしました。まだ詳細が判らないものばかりで、寂しい一覧表ですが、「4月・日本」に早く詳細が書き込めることを、願っています。  

2015年 10月3日 23時20分

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