今年は梅雨入り宣言が難しい気圧配置と言われましたが、ほぼ平年通りの梅雨入りをした関東地方でした。でも雨の日は少なく、晴れれば真夏の蒸し暑さに。それでもやっぱり晴れ間は嬉しいものです。洗濯も掃除もサッサと片付けて、紫陽花を見に出かけたり、花菖蒲の写真を撮りに行ったり。雨に洗われた青や紫の花は生気があり、シットリと落ち着いた美しさに輝いています。花々の色に癒されて、雨もまた良し、と思えます。・・・でも、一方で九州では梅雨に似つかわしくない豪雨。被害に合われた方々に、お見舞い申し上げます。
ここ数年、梅雨〜台風、それ以外の時も、豪雨や洪水、土砂崩れの被害が各地で相次いでいます。それは日本だけでなく地球上の広い範囲にも及んでいますが、気象条件は人間の手に余るもの、天を仰ぐしかない・・・のかしら。でも、人間活動ゆえの地球温暖化の所為ならば、やはりなんとかしなくては。世界のリーダー達には地上(地球の表面)の「政治」問題ばかりでなく、天上も地下もひっくるめて、地球の問題を真剣に取り上げて欲しいものです。まさにインターナショナルな問題なのですから。
6月のウィーンで、マエストロは今シーズンの活動を無事に終えられました。腱炎(足)がすっかり治って、かどうかはよく判りません。というのも、ある評には「慎重に、躓かぬように、とてもゆっくりと歩いて登場した。」とありました。「けれども、彼のピアノの所に来ると、年齢に制約された躊躇いはすべて止揚され、熟練に席を譲った」と。ピアノの側に立つと、小柄なマエストロがスッと大きく見える・・・登場シーンが思い出されます。
演奏は、流麗で明晰、鍵盤の上を飛ぶように指が滑らかだったが、前半のシューマンでは、ユックリした部分はとても美しかったけれど、急速な部分ではちょっと早すぎて特徴が失せてしまったかのようだった、と。
後半のショパンは、「異議の唱えようのない」演奏で、しなやかに、上質な響きで弾かれた舟歌、幻想ポロネーズ。フォルティッシモで丸みある温かい響きと組み合わされた素晴らしい軽やかさが、ピアニッシモでは
内奥を輝かせ、曲の理想と一致するかのようだった。全て角という角を無しに(Ohne Ecken und Kanten)演奏するという意識的な決意。音楽的にも技巧的な面でも完璧な奏法で、どんな高度な音楽的レベルに於いても、そのようにして滑らかな印象を与えたのだ。子守唄と英雄ポロネーズは何とも言えぬほど美しく、感情を込めて弾かれ、輝きをもたらした。聴衆は立ち上がって彼を讃え、アンコールは再び彼の偉大さを示した。とても成功した夕べだった。
(Ohne Ecken und Kanten--Wiener Zeitung)
アンコールは4曲で、「革命」、スケルツォ第3番、ノクターン第8番、バラード第1番でした。
ベルリンに続いてウィーンでもお聴きになったJanさんからも、すぐにメールを頂きました。
ベルリンでは、前半のシューマンで不安定な部分もあったようですが、ウィーンではより美しく安定した演奏だったこと。
舟歌、幻想ポロネーズ、バラードの始まりの部分での透明な美しい音色が本当に素晴らしかった・・・と。
またベルリンでは英雄ポロネーズの143〜151小節でCの音を強調(ショパンの楽譜にもアクセントが付けられている)して演奏したそうですが、ウィーンではそれはなく、滑らかで美しいメロディラインだった、と。
上記の評にある「角」の無い滑らかな演奏の証左のようですが、ベルリンでは新たな試みを、ウィーンではまた別の途を探る・・・ポリーニの探求心の深さを示しているようです。
ウィーン芸術週間の常連で、ムジークフェラインとコンツェルトハウスで交互にリサイタルを開くのが常であるポリーニ。2012年には体調不良でキャンセルとなりましたが、昨年も転倒により急遽キャンセルとなってしまったマエストロのリサイタルでした。ウィーンの聴衆がどんなに待ち望んでいたことか。またマエストロ自身も期するところある公演だったのではないでしょうか。4曲のアンコールは、プログラムの後半にも匹敵するボリューム、豪華な曲目です。ウィーンで、好調の裡に今シーズンを終えられたマエストロの、高揚した気持ちが伝わってくるような気がします。
これから夏の音楽祭シーズンまで、しばらく長い休みのマエストロです。レコーディングは?と見ると、Chris Alderさんのtwitterに、こんなツブヤキが。
2 weeks of piano recordings ahead! Munich Pollini father then son, thereafter Paris with Lang Lang″(5月24日)
5月の最後の週にレコーディングが行われたようです。曲目は???? DGとの契約ではシュトックハウゼンのレコーディングがありますから、それでしょうか? それとも・・・。それにダニエーレさんは何をレコーディングしたのでしょう?(ちなみにLang Langは、ショパンです)
ともあれ、次は何がリリースされるのか、楽しみですね。
ミュンヘンの公演が新たに発表されました。来年3月11日です。4月にキャンセルとなった公演の代替と思われますが、曲目はまだ決まっていないようです。
ベ
ルリン、ウィーンのアンコール曲と、ストラスモアのプログラムを追記して、更新といたします。