夏のページを一文字も書かないうちに、早くも“暦の上では秋”になりました。この2か月ほどの猛暑を思えば、秋の到来はありがたいことですが・・・でも、暑さはすぐには退かないようですし、台風という自然の猛威も次々と現れます。今年は異常なほどの雨に襲われた地域が、九州、四国から東北、北海道まで・・・結局日本全国で、何度も何か所もありました。皆様にはご無事で夏を楽しんでいられることを願っています。
さて、先月終り頃からPollini″の字がいくつかweb上で見られるようになりました。ラインガウ音楽祭の紹介記事です。あぁ、マエストロはお元気に出演されるんだ・・・と思いながらも、突然にAbsage(キャンセル)″などという文字が表れないようにと、祈るような思いでいました。そして8月8日を無事に迎えられて、本当に良かったです〜。
ラインガウ音楽祭は1988年から始まった音楽祭。フランクフルト(am Main)から少し西に、マイン川とライン川が合流する街マインツ、ヴィースバーデンをはじめ、ライン川の流域の町や村、周辺の丘陵、山岳までの広い範囲で、夏の長い期間に亘って行われます。
今年は6月下旬から9月中旬まで、会場もコンサートホールだけでなく、教会、修道院、僧院、城、ホテル、ワイナリー、大学キャンパスなど様々な場所で行われます。
出演者も無名の新人から期待される若手、中堅、そして著名な演奏家や団体まで、様々な興趣溢れる演奏に触れることが出来ます。
今年はピアニストはポリーニを筆頭に、D.フレイ、P.L.エマール、I.レヴィット、J.ビス、A.ヴォロドス、K.リフシッツ、などが登場。
J.リシェツキ/K.ヤルヴィ指揮バルト海ユース・フィル、M.ペライア/Academy of St Martin in the Fieldsの協奏曲もあります。
バイオリン/ツィンマーマンとピアノ/ツァハリアス、ソプラノ/ダムラウとハープ/メストレのデュオ。
ヤノウスキ指揮ベルリン放送響(Vn./シュタインバッハー)、エッシェンバッハ指揮G.マーラー・ユーゲント管、バレンボイム指揮ベルリン・シュターツカペレ、ガーディナー指揮ロンドン交響楽団(Vc./カプソン)・・・錚々たるメンバー、団体が名を連ねています。
ヴィースバーデンはその名(Baden)のように豊富な温泉や鉱泉のある所で、ヨーロッパで最も早く開けた温泉地と言われます。Kurhaus″は辞書には「療養所、温泉旅館」となっていますが、このような特色ある街の中心的な文化施設という存在なのでしょう。大ホール、中小のホールは演奏会だけでなく各種の会議にも使用され、カジノ、レストラン、スパがあり、背後には美しい公園もあるようです。
音楽祭主催者は、何年も前からポリーニに出演を依頼していたが、ついに実現できた。それはFriedrich von Thiersch Saalの素晴らしさに拠るものだ、というようなことを言っています。
このホールは著名な建築家・画家(その功績により騎士に叙せられた)のThierschによって1907年に建設されました。
高い天井にドームを戴き、背景に金の彫刻の施された舞台はシャンデリアに華麗に輝き、大円柱に支えられた空間の窓には美しいステンドグラスが映える壮麗なホール。何よりも音響の素晴らしさはドイツで一番と言われます。
歴史的ホールゆえにこの度改修を施していたのでしょうか、先月末からの記事に、このホールで「再び演奏会が開かれるようになった」「一時的に公演が可能となった」などという記述がありました。
8月7日にシェークスピア生誕450年にちなむ朗読と音楽の会、そして8月8日に待ちに待ったイタリアの巨匠マウリツィオ・ポリーニの演奏会が開かれる、と。
建築にも造詣が深く、何より音の響きを重視するマエストロ。きっと素晴らしい空間の中で、心地良く音楽を奏でられたことでしょう。
ちなみに昨年はNHK交響楽団がデュトワに率いられて音楽祭に出演し、このホールで演奏して高評を博したそうです。Webに記事があり、ホールの写真なども載っています。
http://www.nhkso.or.jp/news/6365/
ラインガウ・・・ワイン好きな方はよくご存じでしょう。ドイツを代表するワインの産地。音楽祭を記念して上質なリースリング・ワインも作られているそうです。音楽祭のマークもブドウをかたどった洒落たものです。
マエストロも演奏後には、美酒を楽しまれたにちがいありませんネ(^^)。
2015年のスケジュール表を作りました。来シーズンの6月までで、まだ情報が少なく、曲目も未定ばかりでちょっと寂しいものですが、ご覧になってください。来々シーズン9月以降が判るのはもっと先でしょうけれど、そこに「日本」の字が表れると良いですね・・・。