時々の雑記帳

音楽のこと、ポリーニのこと、日々の雑感を、
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このほかの日記帳はこちらを、すぐ前のものは「春」4〜6月を、後のものは「秋」10〜12月ご覧ください。

(7月〜9月)

さあ 音楽の季節へ
「暑さ寒さも彼岸まで」とは、昔の人の知恵のある言葉。その言葉通りに、長く続いた猛暑も終わりを迎え、一気に秋めいてきました。秋の長雨が豪雨の様相であったのは気がかりでしたが、今朝は穏やかな秋空が一面に広がっています。この夏は大雨の被害が各地でおきましたが、そろそろ日本全国、落ち着いた爽やかな気候を楽しみたいものです。

マエストロは、この夏サルディニアとシエナで夏を過ごされたようです。シエナではリサイタルに先立ってインタヴューも行われました。今年はイタリアも猛暑だったようで、サウナみたいだ・・・とボヤキながら、バミューダ・ルックで会談の場所を探すマエストロ。結局ピアノを置いている部屋でやっと落ち着いて、現代音楽のことなど熱く語っています(いつかご紹介できれば良いのですが・・・)。

ルツェルンでは岡部氏のインタヴューを受け、ベートーヴェンのソナタについて、またPerspectiveの現代曲について語っているのは、「音楽の友」誌上で読むことが出来ます。(この10月号にはONTOMO MOOKの発売予告があり、11月初旬発売予定の“ベートーヴェン”のMOOKに、ポリーニが32のソナタとディアべり変奏曲について語った文が掲載されるそうです。)
またkajimotoのポリーニ・パースペクティヴ特設ページに、8月30日公演の松本學さん(音楽評論家)によるレポートが載っています。

初秋のウィーンでは、アバド & ルツェルン祝祭管弦楽団(LFO)との共演で、モーツァルトのピアノ協奏曲第17番K.453が演奏されました。聴きに行かれた方のお便りでは、お元気そうなマエストロが、信頼しているアバド & LFOとともに、まるで室内楽のように親密に、幸せそうに、微笑みを交わしながら演奏していたとのこと。しかし音楽は明るく軽快な中にも、メランコリーを漂わせていたようで、深みを増して真のモーツァルトの魅力に溢れていたのではないかと、想像しています。

この後アバド & LFOは、ピリスを独奏者に迎えてモスクワ、ハンブルクで公演し、23日には再びポリーニとともにフェラーラで同じプログラムで演奏しました。
5月に起こった北部地震で大きな被害を受けたフェラーラは世界遺産の町。M6.0の揺れで多くの貴重な建物やモニュメントが崩壊し、テアトロ・コムナーレも大きな被害を受けたのです。LFOの中核をなすマーラー室内管弦楽団はこのホールのレジデントで、アバドも以前から強い繋がりを持つ町です。地震後すぐに支援を申し出たマエストロ・アバドが、テアトロ・コムナーレの4ヶ月ぶりの再オープンとなるコンサート、フェラーラ・ムジカの幕開け公演を指揮し、ポリーニがともに出演したのです。
音楽家達の出演料は全て劇場と市の復興のために寄付され、旅費はルツェルン音楽祭が負担するとのこと。また500ユーロの特別席が50席あり、その購入者は演奏会後のパーティーに出席できたようです。きっと飛ぶように売れたんでしょうねぇ。 
今朝は速報がwebに載っていて、公演は大成功で、“108mila e 654,10 euro”(1000万円以上)の収益があったとのこと。フェラーラ・ムジカとしても最高記録だったとか。両マエストロ、音楽家の皆さん、おめでとう、ありがとう、そしてお疲れ様でした。

23日を過ぎ、あと1ヶ月で“Pollini Perspectives”の開始。つまり、もう1ヶ月もしないうちにマエストロの来日、ですね\(^o^)/
お元気で来日されることを心から願っています。
DGのサイトのOn Tourでも10月17日の北京公演がトップになっています。ヨーロッパでの一連の公演を終えて、マエストロも秋の長いアジア・ツアーに向けて準備を始められるのでしょう。
涼しくなって、私もやっと音楽を聴いたり、本を読んだり、できるようになりました。時間の余裕は相変わらずないけれど、Perspectiveに向けてベートーヴェンのソナタなど、しっかり聴いて、準備をしておきたいと思います。

今回の更新では2013年のスケジュール表を(やっと!)Upしました。一つ訂正があります。来年1月のドレスデンでの演奏会は、そのサイトで確認したところ“25〜27日”でした(他サイトでは27〜29日となっているのですが)。お詫びして訂正いたします。

2012年09月24日 12:30

シエナから
百日紅、向日葵、夾竹桃・・・夏を彩る花々が咲き誇っています。蝶が飛び交い、蜻蛉が空中を滑り、蝉の合唱もよく聞かれるこの夏。夏らしい夏、と言うべきでしょうか。
猛暑、酷暑、熱中症、そして集中豪雨・・・やはり異常な夏というべきなのでしょう。皆様はお元気でお過ごしでしょうか。
ロンドン・オリンピックは終盤に差し掛かり、日本では高校野球が始まり、世界各地で夏の音楽祭が開かれている・・・。エネルギッシュな夏、楽しい夏、なのですね。

先月末から8月初め、久しぶりに“Maurizio Pollini”の文字が幾つもWebに載りました。シエナの夏の音楽祭に出演するマエストロのリサイタルの告知です。この音楽祭やキジアーナ音楽院とポリーニの絆、イタリアではこの夏唯一回のポリーニの登場、ベートーヴェンの後期ソナタ3曲の演奏・・・期待にあふれた紹介文で、“non perdere(聞き逃せない)”と言いつつ、チケットはすでに“tutto esaurito(完売です)”。この記事を読んで聴きに行きたくなった人はどうすれば良いの?
ともあれマエストロの長い休養からの復帰は無事に行われそう、良いリサイタルになりますように・・・と願っていました。
そして4日には、ゲストブックにてお知らせしたように、現地でお聴きになった方からの速報メールで、マエストロはお元気で素晴らしい演奏だったとのこと。ホッとして、本当に嬉しくなりました。

Webの記事によれば、翌4日は正午からキジアーナのホールで、音楽院の生徒(それ以外の人の参加もOK)への講演会を開くとのこと。とても暑いというシエナで、タフに活動されるマエストロ、もうすっかり恢復されたのでしょうか。

速報を伝えて下さった方はその講演会(質問会)にも出席され、再びより詳しいメールを送って下さいました(ありがとうございました!)。

演奏会は夜9時過ぎからでしたが、マエストロは紺色の麻のスーツにノーネクタイという姿だったそうです。また3曲のソナタは、31番と32番の間に休憩が入ったとのこと。暑さへの配慮(ご自分も聴衆へも)でしょうか。

「演奏は本当に、この重いソナタ三曲であるにも関わらず、伸びやかで幅が広がったというのか奥行が深まったというのか、デリケートな箇所はあくまでもデリケート、力任せな箇所は思い切り力任せと、自然で衒いがなくて、相変わらずストイックなのですが感情はストレートで、本当に目の覚めるような演奏でした。

翌日の質問会は5、60人程の小規模なもので、主に音大生が聴衆でしたが日本人の姿も見られ、二人の日本人女性は質問もしていましたが、一番前の席から英語で質問したビックリする程の美女の日本人女性のことをマエストロは初めからしきりに気になさっていて、この美女が質問するとなんだか照れていらっしゃいました。
どの質問にも懇切丁寧に親身に答えられ、別の日本人女性には「質問の意味が分かりません」と言いつつも懸命に分かろうとなさったり、後ろの方の席の物怖じしない中国人の女の子(この子も美人でした!)には「もっとそばに来て(質問して)くれないか」と真面目に言われたのですが、美人で若かったのとマエストロの言い方が直接的だったのとでまるで美女をはべらす風になってしまって会場中が笑の渦になってしまい、マエストロは真っ赤になられたりと、お人柄が垣間見えて楽しかったです。
他の音大生の質問はかなりアカデミックで、モーツァルトとベートーヴェンのオペラの違いだとかフーガの使い方などで、マエストロもシェイクスピアからワーグナーなども引き合いに出され、時にはピアノを使ってのデモンストレーションもなさり、実に素晴らしい一時間でした。
全く飾りや構えのない方で、廊下や階段でも自然に誰とでも話したりなさっていて、ますますファンになりました。」

美女にヨワイ(?)マエストロ・・・なんだか可愛いくて(失礼!)、可笑しいですね(^o^)。音楽界の巨匠でありながら、自然体で素直な愛すべきお人柄を垣間見られて、楽しくなりました。
そして若い音大生に真剣に音楽を伝えようとするマエストロの姿には、心身ともにすっかりお元気になって、マエストロらしさを発揮されている様子が目に浮かび、本当に嬉しくなりました。

7月は多忙に明け暮れて、更新もままなりませんでした。けれどマエストロのご恢復を思わせる、秋の“Pollini Perspectives”のチケット発売、ドイツのレコード賞の受賞など、嬉しいニュースもありましたね。猛暑の中でヘトヘトになり、音楽を聴くことすらもせずに過ごしていましたが、音楽に対するマエストロの愛と強い意志を窺い知れば、心身に“活”が入るよう。暑さなどに負けずに、心して音楽に接したいと思えるようになりました。

「音楽の友」8月号には、“「ポリーニ・パースペクティヴ2012」を2倍楽しむ!(真嶋雄大)”という特別記事があります。ポリーニがベートーヴェンのソナタと並べて紹介する、現代の作曲家とその作品について解説されています。「楽しむ」ことが出来るか、やや不安な私ですが、少しでも親しめるように、そろそろ準備するのも良いかもしれない、と思います。

立秋を迎えて、やっと「夏」の雑記帳を書くとは、お恥ずかしい限りです。暦の上では秋・・・とはいえ、まだまだ猛暑も多忙も続きそうですが、音楽に親しむ今年の“ポリーニの秋”を望みつつ、頑張っていきましょう。
今回は[2012−2013 Season]のスケジュール表を作りました。

2012年08月07日 23:30

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