いつまで続く猛暑・・・と思っていたのに、このところの涼しさは10月並みとか。
虫の音など聴きながら、夏の終わりはいつもちょっと寂しい気がしますが、今日の曇り空には、なんだかワビシイ気持ちにさえさせられます。台風が去ったら秋の青空が広がるのでしょうか。それともやっぱりキビシイ残暑になるのでしょうか?
今年のヨーロッパは昨夏の猛暑とは打って変わって涼しく、早くも秋めいているようです。
ポリーニのいるルツェルンも、快適な気候だと良いですね。なにしろ演奏会にアカデミーにと、大活躍のマエストロ。
28日はピアノ・マスタークラスも最終日を迎え、講演会(対談か)に続いて、受講者の演奏会。毎日4時間熱心に教えた若者たちの学習(?)の成果を味わっていられることでしょう。
お疲れさまでした、マエストロ!
「現代の音楽があまり演奏されず、支援されていないので、私が引き受けました。聴衆の、まして文化的組織の、熱心さの相対的な欠如が、現代音楽をおろそかにし続けさせています。ベートーヴェンの時代には、その作品は定期的に(日常的に?)演奏されていました。ところが今日では、史上初めて、同時代の音楽が200年前の音楽よりも聴かれていないのです」
「それは、前の世紀に(聴衆の)嗜好の習慣の虚を突くほど急激に、音楽の書法が発展を遂げたからです。もし(音楽的)財産を少数の人にだけ残すことを望まないなら、それにアプローチする新しい機会を創らなければなりません」(Corriere della Sera)
ブーレーズの創めたアカデミーに加わり、トップバッターとしてピアノ・マスタークラスを受け持ったポリーニ。相変わらず“熱い”ですね。
シェーンベルクとウェーベルン、ブーレーズ、シュトックハウゼンの曲を中心に教えるコース。6人の生徒の中には、アルベルト・ノゼの名もあります。前回のショパン・コンクールで5位に入賞し、世界的にも活躍をはじめているイタリアの若手。アメリカの演奏会の紹介文には「既にポリーニと比較されているヴィルトゥオーゾ・ピアニスト・・・」という一文もありましたが、現代音楽にも強い関心を持って、ポリーニの教えを受けるとは、将来が楽しみなピアニストですネ。
これに先立つ18・19日のアバド/ルツェルン管とのベートーヴェンの4番は、二人の深い信頼と友情を証しする素晴らしい演奏だったようです。
「(この曲は、何度も一緒に演奏されているが)昨夜は、彼らの感情的-音楽的な不思議な錬金術によって火をつけられ、世界中から集まった聴衆を、息もつけないようにしてしまった」
「ホール中の勝利を祝うような歓声によって、共演の喜びは成就された」
同じCorriereの記事で、アバドはポリーニとの友情を語っています。
「音楽だけではありません、マウリツィオと私を結ぶものは沢山あります。互いにとても尊敬しあっていること、文化への同じ考え方、同じ倫理観。そして探求を好むこと、決して満足することのない者は落着いていられないのですよ。」
「プローべの間ずっと、私たちは同じ直観を抱いていたので、言葉で説明しあう必要もありませんでした、私達の間にある調和(sintonia)とは、そういったものなのです。」
だが、生活や仕事の都合で二人は遠く離れている。
「このような相互理解があるときには、それは大したことではありません。私にとってマウリツィオと(の友情)がそうだし、タルコフスキーやクレパクスやゼルキンともそうでした。私達は時々しか逢いません、でも、いつも、まるで前の日に別れたばかりのようなのです」
深い友情から生まれた、大いなるsintonia(同調、調和、一致)。
ベートーヴェンの協奏曲の中で、協奏という言葉(競奏や、共奏でなく)が一番相応しいのが第4番ではないでしょうか。ベルリンフィルとのライブ録音盤を聴きながら、しみじみと思います。
曲全体に溢れる明るさ、力強い中に潜む優しさ、深い想い・・・「調和」を大切にし、それによって深い感銘と大きな喜びを生み出す音楽。
現在のアバドとポリーニの、そしてアバド・ファミリーともいうべき奏者達の集うオーケストラとの協演は、どんなに魅力的だったことか。聴きたかった・・・し、聴きたいですね!
会場にはTVカメラが入っていた(NHKも?)とのこと。実際にこの演奏会はArte-TVで9月5日に放映されます(遠い日本では見えないけれど)。EURO ARTSもこの企画に参加しているそうなので、いつの日かDVDなどリリースされることを祈りましょう。
スケジュール表に少〜し付け加えました。2005年の来日は10月(後半)〜11月ということ以外、何も判りません・・・でも、またマエストロに会える!と思うと、嬉しいですね(*^^*)