時々の雑記帳

音楽のこと、ポリーニのこと、日々の雑感を、
時々(気まぐれに)、書き入れます。

更新状況もここに載せます。
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このほかの日記帳はこちらを、すぐ前のものは「夏」7〜9月を、次のものは「冬」1〜3月ご覧ください。

(10月〜12月)

悲しみよ、さようなら
窓から見える木々も、すっかり葉を落として、青い空がいっぱいに広がっています。
忘年会、冬至、天皇誕生日、クリスマス、終業式・・・、12月の歳時記は飛ぶように進み(大掃除はまだ進まないけれど)、もう今年も、残りわずかとなりました。
一年を振り返ってみると、まあ随分と、いろいろなことがあった年でした。
猛暑、大雨、洪水と異常な気象がつづき、大地震も起こった今年。天変地異という言葉を実感させられましたが、人災というか、人間の起こした問題も数え切れないほど。
世界に目を向ければ、さらに悲劇的な状況が地球規模で広がっています。イラクの泥沼化をはじめ、世界各地の対立・テロ・戦争、ブッシュ再選(人災じゃない?)。そして世界の中の日本でもキナ臭い動きが・・・。
殆どworstな年を終えて、来年はちょっとbetterな年になるのでしょうか。少しでも希望をもって迎えたいものです。

私個人としては6月の引越しが大(?)事件。その前後の超多忙、真夏の猛暑には参りました。
そのさ中に触れたカルロス・クライバーの訃報も、ショックでした。悲しく、寂しかった・・・。
でも、環境が変わると、生活の仕方も少し変わり、より自然に親しめるようになったのは、嬉しいこと。歩く量が増えたのは健康にも良さそう。その分ちょっと不便になりましたが、慣れれば大したことない!と、今はすっかりこの生活に馴染んで、季節の移り変わりを楽しみながら過しています。

私個人としては勿論、多くのポリーニ・ファンの方にとっても、きっと“2004年”は忘れがたい年になったことでしょう。
5月の来日、4回のリサイタルは、どれをとっても素晴らしいものでした。ポリーニはマエストロとしての大きさ、豊かさ、深さを如実に示して、詩情豊かに、また力強く、美しい曲の数々を完璧な作品として聴かせてくれました。心の中にポラリスのように、いえ、シリウスのように、光り輝く思い出となっています。
Grazie, Maestro Pollini !

このHPを通じて、多くのファンの方々と、意見や感想を交わし、感動を共有できたのも、嬉しいことでした。
音楽を聴くのは独りの個人としての行為であっても、演奏会という場で、聴衆の一人として演奏者の音楽を共有することは、また格別な体験です。それは二度と味わえるものではないけれど、人に伝え合い、受け容れあうことによって、いくらか再生されるのではないかと思っています。
CDなどを聴く時にも然り、ファンの方々を思い浮かべ(ポリーニがスタジオ録音の時にそうするように、とは、おこがましいですが)、心に暖かいものを抱きながら聴くことで、より音楽と親しめるような気がしています。
このHPをお訪ねいただき、ご意見をお寄せいただき、ご協力をいただいて、本当にありがとうございました。

スケジュールに一つ追加し、プログラムをいくつかUPして、今年最後の更新とし、
来年も、またポリーニに逢える希望をもって、今年の日記帳を閉じようと思います。

皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。

2004年12月26日 13:11

秋のシンフォニー
紅葉、黄葉、茶色の枯れ葉、さまざまな色合いの葉が晩秋の空に映え、音もなく枝を離れ、風に舞っています。
カサコソと足下につもり、くずれる枯れ葉の柔らかさ。赤い実や枝にたわわの柿の実。空気は冷たいけれど、晩秋の自然は温かい色に満ちています。寒さが来る前の、自然からの優しい贈り物のように。
春の若葉も、夏の緑一色の風景も美しいけれど、秋、木々がそれぞれ違った色合いに染まっていくのは、なんだか不思議な気がして、自然の繊細さ、また奥深さを感じさせられます。
そんな秋景色の中を歩いていると、聴こえてくるのはブラームスの交響曲第4番・・・木の葉がハラリと散るような、軽やかに風に舞うような、Allegro non troppo。繊細な表情づけ、しなやかなフレージング、生き生きしたリズム、自然な、そして最高に効果的なデュナーミク。豊かな温かみのある音色、懐かしい響き・・・それらを生まれ出させるカルロスの優雅な指揮姿。そう、カルロス・クライバーの新しいDVDにハマッテいるのです。素晴らしい音楽、素敵な映像に魅了されながらも、フッと彼の不在を思うと、寂しさがこみ上げてきます。でも今は、数は少ないけれど、奇跡のような貴重な録音を遺してくれたことに感謝しつつ・・・永遠なれ、カルロス!

ブラームスの4番が秋の曲とすれば、厳しい冬の交響曲は・・・チャイコフスキー「悲愴」。
先日、ゲルギエフ/ウィーン・フィルの演奏会で聴きました。ゲルギエフの故郷北オセチアを支援するチャリティ・コンサートです。以前から一度はウィーン・フィルを聴きたい!と思いつつ、高価で即完売のチケット、諦めていたのですが、今回1曲だけで入手しやすい価格なので、ダメモトでWebでトライ、なんと、すんなりと取れてしまいました(ヤッタ〜〜〜ッ!)
正午からのコンサートでしたが、ウィーン・フィルのメンバーは燕尾服で登場。ゲルギエフは黒いシャツに上着ですが、これが彼の“正装”なのでしょう。最初の挨拶で、このコンサートはロシア大使館の主催で、収益の半分は新潟中越地震に寄付されることになったと語られました。そして最後に拍手はしないでください、と。
開始の低弦の弱奏から緊張感がみなぎり、次第に管・弦楽器が加わり、透明感の中に柔らかさのある豊かな響きがホールを満たして・・・これがウィーン・フィルか、来年はポリーニが弾き振りするのね(^^)などと思ったのも束の間、「悲愴」の厳しい音楽にグングンと引き込まれてしまいました。
まるであの惨劇と恐怖を予見したかのような楽想に、背筋が凍る思い。楽章間をほとんど空けずに演奏され、第2楽章はやや早めのテンポ、もう少しウィーン・フィルの艶のある音色で優美さを楽しみたい気もしましたが、センチメンタルに過ぎず、これも良いのかも。第3楽章は鋭利なリズムが生き、オーケストラの水も漏らさぬアンサンブルに鳥肌が立つよう。そして第4楽章は深く重く、オケの底力を表すような・・・入魂の演奏でした。
曲が終わって長い静寂、祈りの時が過ぎて、ゲルギエフ、オケのメンバーは舞台を去っていきました。心の中で賛嘆と感謝の拍手。ゲルギエフの気迫のこもった指揮にも圧倒されましたが、ダイナミックでエネルギッシュであると共に、繊細な表情づけにも目を奪われました(席はPブロックでした)。
そうそう、サントリーホールでは、今年の演奏会の写真が壁に掲示したありました。ポリーニのものは5月6日の写真が、2階左奥にあります。

さて、マエストロはミラノでの演奏会を終えられました。ムーティと共演の協奏曲はWebradioでお聴きになった方もいらっしゃることでしょう。生き生きとした、祝祭的なモーツァルトでしたね。
クラリネットのA.ダミアンと共演の演奏会は、Societa'del Quartettoのためのものでした。このSocietaは、あのヴェトナム戦争反対のアピールをめぐりキャンセルになった時の主催者です。実に32年ぶりの演奏会。やはり話題になったようで、この時の聴衆で現在協会の理事になっている人の談話がありました(葉子さん、ありがとうございました)。

ポリーニが舞台に出て、上着から小さな紙を取り出し、ヴェトナム、と言うや否や大騒ぎが始まった。
「黙れ、黙れ」、「演奏するために此処にいるんだろう」と怒号、抗議、口笛を吹く者、舞台に上がる者、ピアノのフタを閉める者も。大混乱。
そして予想外の事態に対処することのできる協会の責任者は誰もいなかった。
ポリーニはまず声明を読んでからでなければ演奏しないと主張したが、彼に賛成する者と反対する者が怒鳴りあうホールの中では、それは不可能だった・・・。
彼自身はポリーニの行為に理解的だったようで、聴衆の手の施しようのない反応に当惑した、と語っています。もっと力のある人物がその場にいたら、事態は違っていただろう、と。
「ポリーニが我々(の協会)のためにヴェルディ音楽院で演奏会を開くのに、32年という歳月を要しました。時間とともに傷口がふさがったのです」
今、もしイラク戦争に反対する芸術家がいたら?
「当時のようなリアクションにはならないと思いますよ。世界を震撼させる事柄への声明に、誰も口笛をふく(やじる)ことはしないでしょう。それに協会の会員もあの頃とは変わりました。ずっと開かれた組織になっています。ご存知ですか、かつてある離婚訴訟で、手に入れ難い会員権を、夫と妻のどちらが保持するかで口論になったことも有ったのですよ」

保守的なミラノの聴衆・・・と言われはしましたが、この協会の会員であることがステータスであるような、ブルジョワ的(?)組織だったのですね。(でもその中に、ポリーニに賛成する人々も居たことが判り、ホッとしました)。
そのような会員に向けてのポリーニの行為は、若気の至り、無謀で反則的な行動などではなく、よく考えられ、強い意志に基づいた確信犯(?)的行動だったのでしょう。
今回の演奏会では、勿論、声明は読み上げられなかったようです(^^)。でも、ダミアンとの曲目、シュトックハウゼンのピアノ曲(7番と9番)とハンマークラヴィーアとを並べるプログラム、そして前日にはプレゼンテーションを行ったり、やはりポリーニは変わらず「革新的」ですね。

スケジュール表を少し更新しました。来年のザルツブルクは、8月31日です。

2004年12月01日 15:00

Tanti Auguri!
マエストロ、おめでとうございます!
11月10日、マエストロ・ポリーニはローマで、チャンピ大統領から金メダルを授与されました。

「ヨーロッパは何世紀、数千年にも亘る共通の文化・芸術を基に、統一を成し遂げました。(・・・中略・・・)
(ペトラルカの生誕200年を他の国も祝っていることに触れ)同様に我々イタリア人は、ヨーロッパの古代から現代までの先人たち―カントの名を挙げるにとどめますが―の記憶を呼び覚ますために、他のヨーロッパ諸国と共通のイニシアティヴを、よりよく発揮していくことができるでしょう。」(大統領のお言葉(の初めと終わり))

「la Medaglia d'Oro ai Benemeriti della Cultura e dell'Arte per l'anno 2003(2003年文化と芸術の功労者への金メダル)」というもの、日本の文化功労賞の様なものでしょうか。
「2003年度」ということですから、ローマでのプロジェット・ポリーニ(大統領も確か列席されたはず)が高く評価されたのでしょう。それは、ポリーニにとっても、とても嬉しい受賞ではないでしょうか。ヨーロッパ音楽の正統的な系譜を、広く深く探求し、これからも推進していこうとするポリーニに、相応しい受賞だと思われます。
受賞者は研究者、評論家、弁護士、建築家、作家、演出家、映画監督、音楽家など、全部で16人。ヴァイオリニストのウト・ウーギ氏も受賞、エルマンノ・オルミ、ジュゼッペ・トルナトーレ両映画監督も受賞しました。

また、16人の中にイラクで命をなくした2人の若い将校の名もありました。ナッシーリヤの悲劇から1年がたつ12日にはミサが行われ、それに先立ち未亡人へ贈呈されました。
文化・芸術に造詣深く、特に音楽を趣味とされる大統領。文化の価値を信じ、そのもたらすものを尊ぶ思いとともに、世界の平和を求める心も、誰よりも強くお持ちなのでしょう。

スケジュール表にいくつか付け加える点があり、更新しました。来日情報も少し判ってきて、嬉しいですね(^^)v。
"2004-2005 Season"のページには、アメリカでのアンコール曲も記しました。ニューアークとニューヨークの公演をお聴きになったぺぴさんからメールでお知らせいただきました。 ニューアークでの「バラード1番」は“実に素晴らしく、なんといったらいいのか、 神がかっているという感じでした。(中略)観客総立ちでものすごい拍手でした”とのこと。 またワシントンで聞かれたJanさんは“この2・3年に聞いたうちで最高の演奏で、すっかり満足しました”と。
ぺぴさん、Janさん、Thank you!

15日はミラノで、ムーティさんと共演の予定ですが、きっと聴きたい〜ッ!という人が多すぎたのでしょう、17日に再演ということになったようです。やる気一杯のお二人、素晴らしい演奏会となりますように!

2004年11月13日 17:38

秋の日のヴィオロンの…
今年は異常な暑さの夏、そして厳しく悲しい秋でした。台風が次々と日本列島を襲い、10月半ばになってまで超大型台風が大きな被害をもたらしたかと思えば、続いて震度7という新潟の大地震。
被害を受けられた方々に、心からお見舞い申し上げます。
山が崩れ、大地が裂ける恐ろしさは、想像を絶するものでした。大地の上に人間が作った物、家も道路も線路も、ひとたまりもなく破壊する自然の猛威の前で、人間の小ささ、弱さを思い知らされました。でも、一番小さく弱い幼な子が、4日間も厳しい状況に耐え、無事に救出されたことは、一条の光をもたらしてくれました。救出に携わった人々の、小さな命を守ろうとする熱い努力にも頭が下がります。
それにつけても、避難生活の中で生命を亡くす方がいることに、悲しみと憤りを覚えます。
車中泊で生活ができますか? 屋外のテントで寒い夜が過せますか? 体育館の様子は避難生活というより「難民」のよう・・・。
天災は避けられなくても、人災は有ってはならないこと。国・地方の為政者には、もっと迅速な、現状に即した対策を、血の通った対応を行って欲しいです。「備えあれば憂いなし」と言っていたKさん、備えは無かったけれど、憂いは一刻も早く取り除いて下さい。「人災いろいろ」なんて、決して言わないで下さいね。

マエストロは31日、アメリカ公演を無事に終えられたことでしょう。一瞬ヒヤリとさせられたのは、DGサイトの"On Tour"のページ。27日ワシントン公演のあと、31日シカゴのスケジュールまで消えてしまいました。「キャンセル? なぜ?」と心配になりましたが、シカゴ響のサイトにはちゃんと公演の予告が載っているので、おそらく単にWeb上の操作ミスだったのでしょう。
今回のアメリカ・ツァー、いくつかの公演評を見つけましたが、総じて「クール」な演奏と捉えられていたようです。
「テクニックは素晴らしい、が、知的にすぎる、冷たすぎる、機械のようだ、感情がない・・・etc.」
その昔、若いポリーニに投げかけられた言葉の亡霊が、まだ彷徨っているみたいです。
その演奏を聴いていないから何も言えないとはいえ、最近のマエストロの演奏に触れた者としては、頷けないものがありました。本質的にはポリーニは変わっていない、けれど、演奏の表現力は更に豊かさと深みを増し、しなやかさと熱さを持って心に迫ってくるではないですか。
では、マエストロの調子があまり良くなかった?・・・ということでも無さそうです。
ニューヨークでは「疲れを知らぬピアニストは、4曲アンコールを弾いた」そうだし、ボストンでは「満面に笑みを浮かべて舞台に弾む様に出てきた」し、アンコールも4曲(雨だれ、バラード1番、子守歌、練習曲4番)も。ボストン評は「ポリーニは少しムラ(uneven)があった、だがやはり想像力(imaginative)に富んでいた」というタイトルで、「ポリーニのショパンは知性が勝っている、が、想像力も、熱情も、味わい深さも、ともに有った」と他より肯定的な評でした。聴衆も満足だったようで、それが何よりだし、公演後にはサイン会に応じる愛想の良いマエストロ、ご自分でも満足の演奏だったのではないでしょうか。
感情表出の多いショパンや、印象派的なドビュッシーを求める批評家には「冷たすぎる」と受け取られたのでしょうが、ポリーニは自分の追求する途を、より先へと進んでいるのかもしれない、と想像しています。

さて、昨日私は横浜(みなとみらい)へ、マキシム・ヴェンゲーロフのリサイタルを聴きに行きました。若き天才ヴァイオリニストの「至芸の極」(チラシ)を聴いてみたくて。
プログラム前半はブラームス。スケルツォが追加され、ソナタ「雨の歌」へと続きます。パワフルそうなヴェンゲーロフですが、1曲目はあまり音が響かず(私の席は2階後部でしたが)ヴァイオリン・リサイタルにはホールが大きいのかな、マエストロの時はこの位置ではどうだったのかしら・・・などと思いました。でも「雨の歌」はグッと豊かになった音で、美しいフレージングで、ロマンに満ちた曲が奏されました。真摯で内面的なブラームスをピアノのリリヤ・ジルベルシュタインさんと共に聞かせてくれました。
休憩後は《超絶エンターテインメント・プログラム》。あらかじめリクエストされた曲の中から、その場で選んで演奏するという、ちょっと変わった趣向です。ヴィエニャフスキー、クライスラー、ラフマニノフ、パガニーニ、サン=サーンス(イザイ編曲)など10曲が奏されました。技巧的な超難曲と美しいメロディーのポピュラーな曲を取り混ぜ、トークにジョークを交え、なかなかのエンターティナー、本領発揮という感じのするヴェンゲーロフ。こんなアフタヌーン・コンサートも楽しくって良いナ、今日はマエストロもシカゴでアフタヌーン・コンサートだけど、どんなかなぁ、と思いを巡らしたりしながら、楽しみました。
超絶技巧曲で終えたコンサートは、もちろん大喝采で、アンコールへと続きます。まずブラームス「ハンガリー舞曲第5番」、バッツィーニ「妖精の踊り」は、超スピードの技巧曲でありながら表情や身振りで客席に笑いを起こすエンターティナーぶり。会場中興奮渦巻く中で、ヴェンゲーロフは「もう1つ行く?」「やめとく?」なんておどけたジェスチャーをリリヤさんと交わした後、マイクを取って語りだしました。
「私達は日本が大好きです。いつも日本では楽しく演奏してきました。でも、今回はこの国に災害が起こり、亡くなった人、家を無くした人がいます。それから一人の青年がイラクで命を奪われました。悲しみの中にある日本の皆さんにこの曲を贈ります。タイスの瞑想曲です」と静かに奏し始めました。
朗々と、美しい音が、優しい旋律が、まっすぐ心に染み透ってくるようでした。シンと静まって聴き入る聴衆、目頭を抑える人。最後の拍手は喝采ではなく、心からの感謝の拍手でした。「ありがとうヴェンゲーロフさん、リリヤさん」
楽しかった午後のリサイタルは、こうして心に深く残るものとなりました。

2004年11月01日 14:53

金木犀の香りは朝の大気に漂い・・・
窓を開けると、フヮッと花の香りが漂ってくる・・・金木犀の季節になりました。大気が柔らかな香りで満たされて、微香に染められて見上げる空が青く高くて・・・深呼吸しながら、秋って良いなぁと、しみじみ思う時です。
真夏の猛暑が去っても残暑厳しく、台風が相次いでやって来ては大きな被害をもたらす秋の初めでした。でも中秋の名月は(時々雲の間から)顔を見せてくれたし、10月1日「都民の日」はいつものように爽やかな晴天となったし、やっと気持ち良い季節がやってきた、とホッとしたのですが・・・「秋の長雨」なんて言葉もありましたネ、ここ数日は肌寒い雨模様が続いています。こうして、次第に秋も深まっていくのですね。

初秋のルツェルンで、マエストロはお元気で活躍されたようです。深夜のwebradioをお聴きになった方もいらっしゃることでしょう。演奏会にはもちろん全力を尽くすマエストロですが、マスタークラスでも熱心な指導をなさったようです。ヨーロッパの演奏会によく通われるポリーニ・ファンのMartaさんが、聴講生としてマスタークラスに参加され、その様子をメールで知らせてくださいました。

<・・・リサイタルのショパンのソナタは、ウィーンでの演奏より更にexcitingでした。アンコールには「沈める寺」、「バラード1番」と「前奏曲15番」。
ブーレーズとのシェーンベルクの協奏曲は、明快で理知的な演奏でした。
マスタークラスは、とても興味深く、研究し尽くすものでした(=exhausting、あるいは「とても疲れた」との意味かも)。若いピアニストは皆シュトックハウゼンのピアノ曲を選び、私たちはそれらの曲に精通することとなりました。他の作曲家、ブーレーズやベリオの曲も、選んで欲しかったと思います。シュトックハウゼンの音楽を4〜5時間も演奏し、聴くのは、ポリーニにとってさえ、ちょっとハードだったと思います。にもかかわらず、私達は多くを学ぶだけでなく、ポリーニのとても知的な解説と演奏を聴く好機を得ました。彼はいくつかの偉大な作品を弾きましたが、その中には ベートーヴェンの「エロイカ」や「ハンマークラヴィーア」の終楽章、ブラームスの協奏曲や交響曲第3番もありました、とっても素敵(fascinating)でした。・・・>

お疲れ様でした、マエストロ!

マエストロは、今月はアメリカでのリサイタル・ツアー。カーネギーやワシントン、シカゴなど、よく訪れる大都会のほかに、近郊のパーチェス、ニューアークにも足を運びます。 2年ぶりのポリーニのリサイタル、アメリカのファンはどんなに待ち望んでいることでしょう。お元気で、素敵な演奏会になりますように! アメリカの社会の落着き、平穏と、そしてなによりも旅路の安全を願っています。

今度、このホームページを作成していたgeocitiesがYahoo geociiesとなりました。 Urlは従来のものがそのまま使えるということなのですが、なぜかカウンタがうまく作動しません(私のセッティングの問題と思うのですが)。新しい名のUrlの方は、その点OKですので、よろしければブックマークを↓の方に変えてくださいませ。また、移行に伴いなにかしら不都合があるかも知れません。ご迷惑、お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

http://www.geocities.jp/lovepollini/

2004年10月05日 17:33

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