夏休みに入ったというのに、子供達の元気な声も少なく、プールもガラガラだなんて。今年は夏の訪れが遅いのですね。
暑さに弱い私ですが、そろそろ、夏だ〜〜ッ!という開放感にも浸りたくなるこの頃です。でも、西の方から梅雨明けのニュースとともに、キラキラした海や熱い陽射しの映像。もうすぐ東京もギラギラの夏・・・(^^;ゞ
梅雨明けに合せて夏らしく更新しよう、なんて思っていましたが、季節とは関係なしで、マエストロの写真をMENUページに載せさせていただきます。
先日CD屋さんで見つけたマエストロ(editionの写真)が表紙の、INTERNATIONAL RECORD REVIEW(Jun.2003)という雑誌。"Beethoven Sonatas from Maurizio Pollini"と書いてあります。思わず手にし、パッとめくったらこの写真。思わず(またまた)買ってしまいました。
ちょっと目を通すと、"odd territory"とか、"lack of colour, humour and fantasy"とか、(ライブを付録にしたのは)"mystery"だとか、なんだか辛口評みたいで、メゲてしまったのですが。数日寝かせておいて(メロンじゃないのに)、気を取り直して、辞書も取り直して読むと、実はなかなか甘、じゃなくって、高い評価でした(^^)。
ポリーニは難解な大作(ベートーヴェンなら後期の作品のような)を知的に、技巧的にも見事に聴かせることで賞賛されている。また、しばしば「色彩、ユーモア、幻想の欠如」などと批判されてもいる。「熱情」は彼の厳しさによく応え得る作品(とりわけ第2楽章の構築性)だが、3つの気まぐれな(quirky)小品は、彼の長所に向いているだろうか。odd(妙な)分野ではないだろうか。
だが実際には、あまり知られていない小さい曲の演奏は、どれもみな喜ばしいものだった。いつものようにポリーニは細部を軽視せず、リズムとアーティキュレーションに特に熟慮を加える(例えばOp.54の第1楽章でのシンコペーションの巧みな輪郭)。
にもかかわらず、この演奏は厳しいものとは言えず、まして音色が単調だなどとは、言えない。Op.78の開始部のほろ苦い痛ましさの中に、Op.54のフィナーレ中を駆け回る茶目っ気に、Op.90の第2楽章の殆んどシューベルトのような幸福感の中に、愛情を込めてニュアンスをつけた演奏があり、それは(彼に?)特徴的でない(uncharacteristic)テンペラメントの領域と、調和した色彩への思いがけない感受性を示している。
(比較盤の)ケンプのように温かな寛大さをOp.54に献じようとはしない。Op.90で、情緒的な配合を注意深く変化させても、リヒテルの水銀(?quicksilver)には敵わない。だが、しばしば彼の演奏家としてのペルソナを表す厳しさ(収斂性)を、ポリーニは避けている。
"ポリーニの変わることなき荘重さ”という型にはまった認識を、このリリースは掘り崩すが、一方、録音に際しての要求の強さ、という点でのポリーニ伝説は健在である。
ここにはライブ録音のCDも1枚入っている。正規盤も良いが、もう一方はさらに説得力がある。演奏のアウトラインは大体において同じだが、No.24の演奏は、特にフィナーレで、ぎりぎりまで奔放であり、「熱情」の最後はずっと荒れ狂っている。どうしてポリーニは、この演奏を付録などにしたのか、謎(mistery)である。熱烈に(warmly、心から)お薦めする。(Peter J. Rabinowitz)
評者はライブ盤の方が音質も優れていると書いています。オマケなんて扱いは勿体無いじゃないか、という感じで“mistery”としたのでしょうね。判るような気もします。でもやはり正規盤の魅力は揺るぎないもの、misteryであっても、両方聴かせてくれるgenerosityに、私は感謝したいです。
イタリアから取寄せてもらった“Maurizio Pollini:Ritratto di un artista”がやっと届きました。真っ白い表紙に赤い題字が入ったステキな、でもズッシリと重い本です。
280ページの8割くらいが、専門的な(と思われる)“Studi”。とてもトテモとても、歯が立ちそうにありません(T_T;)。
頼みは日本語訳の出版だけど・・・こんな難しそうな本、売れるかな〜〜〜〜?
とにかく私がまずしたことは、ビニールのカバーをかけること、でした。(何年かかっても、一部だけでも、読むゾ!のココロ、とお考えください)
ひとつ気になるニュースが、ペーザロからありました。
ダニエーレが8月半ばにロッシーニ音楽祭で指揮する予定だった「ランスへの旅」から下りたそうです。
ロッシーニ音楽院の生徒と演奏する予定だったけれど、音楽祭の芸術監督で音楽院の指揮者でもあるZEDDA氏と折合いが悪かったことが原因だとか。
将来の協力(多分マエストロとの)に配慮して、決裂は避けられたが・・・というような文もありましたが。
若いダニエーレ。“ポリーニ”という名が、良くも悪くも常についてまわるのでしょうね。マエストロもお心を痛められているのではないかと、気がかりです。
8月からはじまる音楽祭でのリサイタル、素晴らしい演奏となりますように。
今回の更新は、リンク集にいくつかの追加と、2003年、2004年のスケジュール。
8月29日のザルツブルクの日程は、一旦消しましたが、DGサイトに載っていることでもあり、復活させました(優柔不断な私^^;)。“Duefte Zeichen”に先立ち、マエストロのピアノ独奏があるのかもしれません。そうではなくても、シュトックハウゼンの新作プレミエを、マエスロトはきっと聴きにいらっしゃると思うのですが。