時々の雑記帳

音楽のこと、ポリーニのこと、日々の雑感を、
時々(気まぐれに)、書き入れます。

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このほかの日記帳はこちらを、すぐ前のものは「秋」10〜12月を、次のものは「春」4〜6月ご覧ください。

(1月〜3月)

さくら咲く
一週間ほど前は蕾だった木蓮の白い花が、木いっぱいに咲いています、なんて旺盛な生命力!
飛び立とうとする小鳥のようなその姿は、湧き起こる春の息吹を感じさせます。
この2・3日、温かな陽射しを浴びて心がなごみ、なぜか弾んだ気持ちになっているのは、ポリーニ・プロジェクトの詳細や講演会のことが判り、チケット発売も目前になったからでしょうか。

昨夜は、たまには室内楽も聴きたいなぁと思い、東京クヮルテットの「ブラームスの夕べ」に行ってきました。弦楽4重奏第2番とクラリネット5重奏(間にジョーン・タワーという人の新作「In Memory」)。見事なアンサンブルで、弦の柔らかい響きがクラリネット(ザビーネ・マイヤー)の美しい音色をつつみこみ、深々と心に染み透る演奏でした。アンコールのモーツァルトの5重奏第2楽章も、なんと美しかったことか!

さて、会場でチラシの束を貰ったのですが、重いなぁ、置いて来りゃよかった、と思いつつ持ち帰って、見て、良かった〜〜〜!v(^o^)v
ポリーニ・プロジェクトの詳細の載った、チラシというには立派な、パンフレットが入っていたのです。そして講演会への招待が梶本サイドでもある、ということが判り、嬉しくなりました。
で、梶本のHPを見たところ、こちらにもパンフと同じ内容の詳細が。よくぞここまで!って感じですね。
さあ、マエストロはじめ主催者さん頑張っているのだから、こちらも頑張ってチケットを手に入れましょう!! といっても、幸運を祈ることしかできませんが。

3回のドイツでのリサイタル、フランクフルトとシュトゥットガルトは評があったのですが、難しくってまだ読み終われません(;^^;)。ケルンは見つからず。
フランクフルトではアンコールにショパン:ノクターンOp.27-2、革命のエチュード、バラード第1番。シュトゥットガルトではバラード1番の他3曲だったようです。

今回の更新は、プロジェクト関係を整理して載せ、またシュトゥットガルトの曲目、ワシントンの日程を加えました。

2002年3月15日 23時55分

3月生まれのフレデリック
沈丁花の香りに誘われて道端を見れば、草や土にも春の気配。今日から三月、なんとなくウキウキした気分になるのは、春めいた穏やかな日というばかりでなく、何かが終わり、新しいことが始まる前の開放感、そして期待感を抱かせるからでしょうか。4月に新年度が始まる日本ならではの感覚かもしれません。でもやはり、どこの国でも、春を迎える喜びは大きいことでしょう。復活祭のお祝いに、宗教よりも民俗的なものを感じるのは、単に私がクリスチャンじゃないから・・・?

3月1日はショパンの誕生日(一説には2月22日とも)。ハンブルクでのオール・ショパン・プロのリサイタル、批評があったので、読んでみました。

「荒れ狂う鬼火、魅了する陰影、感動した心情」

「ショパンって、咳をするのもとっても優雅ね」とリストの愛人マリー・ダグーがショパンの女友達のジョルジュ・サンドに書いている。彼女はロマン派の女流作家、肺病の作曲家にプレリュード集を完成させるために、ともに冬をマヨルカで過ごそうと説得し、湿った寒い島に着いて、彼の悲しみの美学を深く理解したのだった。
「モーツァルトのように均整の取れた音色で傑作を作曲することは、彼はできなかった。彼の音楽は、陰影に富み不意に驚愕させ、時々は異様で謎に満ち、そして苦悩したものだ。感情の大波は彼を無意識の内に、彼だけが勝手が判っている広野へと押し流す」
24の前奏曲集、これで1960年17歳のマウリツィオ・ポリーニはワルシャワのショパンコンクールで審査員を眩惑したのだが、これほどキャラクターの対照を互いに磨き出すような曲集は他にないだろう。
満員のムジークハレでイタリアの巨匠は明らかにした、つまり、作曲家は同年輩のエドガー・アラン・ポーの魂に、他の何処でよりも、5度循環で上昇し下降する光と闇の小品からなる複雑な小束の中でより接近していた、ということを。程のよいハーモニーが、一瞬のうちにすぐ次の粗野なデモーニッシュなものへとひっくり返るように、平穏な存在が極めて突然に、妖怪へと姿を変えるように、それは有名な物語「アッシャー家の崩壊」にある『幽霊屋敷』の詩を思い出させる。
ある人はポリーニの指と手に夢中になっただろう、それはまるで鬼火のように鍵盤の上を走り回り、一度など親指と人差し指で1オクターブを弾いていた。また他の人は、曲と曲の間の細やかに量られた休止またはまさに無休止に魅せられたろう。それによって彼はそれらの精神を分かちまたは結びつけ、そこからチクルスのドラマトゥルギーが生じる、それは全体を、危険を孕んだ魂の体験の小径へと変える―ポリーニが雨だれの小景を拭い去ってしまったフォルテッシモの打鍵を、みな忘れないだろう。
4つのバラードにおいても、同じ様に、柔和と狂暴、霧のヴェールと断崖からの落下、その間を彼方へまた此方へと波が打ち寄せるようだった。アンコールには、ショパンの子守歌とドビュッシーのアルペジオのための練習曲。(2月22日 Die Welt)

別の新聞では、「成熟した反逆者」とのタイトルで、「希望音楽会のようなプログラムで、聴衆の人気者として登場しながら、密かに、巧みに、流布しているショパン像を更に新しくし、時には急進的な見方をも付け加えた」というようなことが書いてありました。

ちなみに、エドガー・アラン・ポーは1809年アメリカに生まれ、1849年死亡。まさにショパンと同時代人なんですね。幻想的、ロマン的な作家・詩人と思いますが、アッシャー家・・・って、かなりオドロオドロしいのでは。。。それに、アランって、養子になった家の姓だったんですね、ミドルネームとばかり思ってました(^^;)

2002年3月2日 01時55分

お元気かしら
2月もいつの間にかもう半ばを過ぎてしまいました。逃げ月とも言いましたっけ・・・。
更新を、と思いながら、マエストロのベルリン・フィルとの演奏会のことが気になって落ち着きませんでした。
初日6日の「合唱幻想曲」の評を見つけたのが、やっと12日(Berliner Zeitung)。ところがこの文章、遠まわしなのか、ひねってあるのか、いえ、こちらの力不足に過ぎないのでしょうが、難しくってよく判らない上に、なんだか読み心地(?)がワルい(一体ドイツが書いたんだ!? 失礼!Uehlingさん)結局「ポリーニはソロパートをナーヴァスに演奏した」ことしか、はっきりとは判りませんでした(;^^;)
その後、また2点見つけましたが、やはり???。1誌のタイトルは「ポリーニはベートーヴェンの地雷の門管を除いた」(って、爆発させたのかしら?)
もう1誌には、「雄弁な管楽器のソリスト達が、開始でひどく不注意(!)なピアノのポリーニの緊張を解いたように見える」
・・・マエストロはどうも、あまり調子が良くなかったのかもしれません。まぁ、そんなこともあるサ。お身体の不調でなければ良いのですが。
イタリアのアバドのファンサイトには次のような批評がありました。(ポリーニの所だけ訳します^^;)
「ベートーヴェンの作品は最初の出だしでピアニストが与える色彩によって強く決定づけられる。ザルツブルク(去年4月)では全体の滑らかさが印象的だった。ここではポリーニは各々の音によりこだわり、リズム的に強調し、より勇壮ともいえるスタイルだった。オーケストラが続き、アバドもまた響きの様々なレベルを目立たせ、この作品の秘められた構造を明らかにした。天才的で複雑なサロン的な楽しみから、マーチになり、荘重なものになっていく、つねにより強く、よりゆったりと。最後には、去年のとは非常に異る結末だったが、やはり同じように感激させられた。」
そして8・9日については、日本の方の現地報告が、アバドファンの方のサイトcon grazia に寄せられています(What's new)。
http://village.infoweb.ne.jp/~grazia/
最終日9日は、ステキな演奏だったようで、良かった〜ッ!!
それにしても、百聞は一見に如かず、じゃなくて、百文は一聴に如かず。聴きたいですね(と思いながら86年録音のCDを何度聴いたことか)。ドイツではTV放映が予定されていたようですが(arteTV、但し急遽ヴァント追悼番組に差し替えになりました)、日本でもなんとかならないものでしょうか。

梶本音楽事務所のサイトが更新され、ポリーニ・プロジェクトのシリーズ(9回)券、セット(4回・2種)券の発売が発表されました。プレオーダーは3月20日から。詳細は
http://www.kajimotomusic.com/  さぁ、いよいよ。がんばりましょう!(^^)/

前回、「衣更着」と書いたけれど、本当は「生更ぎ」ですって。「草木が甦る」の意だそうです(by 広辞苑)。
光の春、まだまだ寒いけれど、本当の春も、もうそこまで。皆さま、お風邪をひかれませんように。

23日のリスボンでのリサイタルも、曲目が判りました。

2002年2月17日 13時49分

重ね着コロコロ
二月は如月。もともとは「衣更着」で、寒さのつのる時期をあらわしたとか。本当にその通り、日本全国冬型の厳しい寒さで2月を迎えました。これからが一番寒い日々ですが、でも日脚は伸び、陽射しは暖かく、春が一歩一歩近付いてくるのを感じさせてくれます。
梅のたよりもきかれます。冬晴れの青い空のもとに咲く梅の花が好きです。派手な花ではないけれど、寒い風の中に凛として咲く強さ、香り高いのもいいですね。
今回の更新はindexとmenuページのみですが、白梅をバックにしてみました。

ポリーニ・プロジェクトのチケット発売日も発表されました。ご存知と思いますが一応記しておきます。
 ●声楽・室内楽の演奏会
  10/25・10/28・10/31 <紀尾井ホール>
  11/4・11/6 <サントリーホール>
  プレオーダー:4月11日(木)〜13日(土) 一般発売:4月20日(土)
 ●協奏曲の演奏会
  10/21 <東京文化会館>
  11/18 <サントリーホール>
  プレオーダー:4月15日(月)〜19日(金) 一般発売:4月27日(土)
 ●リサイタル
  11/13・11/22 <サントリーホール>
  プレオーダー:5月9日(木)〜11日(土) 一般発売:5月18日(土)

約1ヶ月、落ちつかない日々となりそうですね。それに、プレオーダーで5回分も申し込めるのかしら・・・?

このところ、editionを取り出しては聴いていますが、やっとノーノ、マンツォーニまで来ました。
意外と聴けるものだわ、と思いながら・・・、やはりあまり聴きたくはならない。。。
でも、ポリーニも「聴く機会が沢山あれば・・・」と言っているから、その内、ピンと来るかしら。
それから、ドビュッシーの前奏曲集第2巻、どなたかお薦めのピアニストのCDがあったら、お教えください。(ポリーニが弾いていない曲には、疎いもんで^^;)

2002年2月1日 01時25分

マエストロの今は・・・
東京はこのところ3〜4月並みの暖かい日が続いています。休みが明け、仕事や学校が始まって1週間、正月ボケあるいは正月疲れで、ちょっと調子が狂っていたので、3連休と穏やかな天気が嬉しいこの数日です。

ポリーニ60歳の誕生日は、欧米では話題になり、ラジオ、テレビや新聞でも取上げられたようです。
Webでも、葉子さんがお知らせ下さったように Andante にインタビューが載ったので、お読みになった方もいらっしゃることでしょう。(http://www.andante.com/magazine/article.cfm?id=15469)

今回は、ミラノの新聞"Corriere della Sera"に載ったインタビューを訳して、「ポリーニは語る(3)」としてコンテンツに加えました。
ここでは音楽についてあまり語ってはいませんが、現在のポリーニの率直な考えを知ることができます。
年を加えても精神的に全く衰えることなく、世界を見る視野の広さを持ち、音楽を通じて社会的活動へ意欲を示し、と、人間としてのポリーニが健在で、嬉しく思いました。
「政治好き」とか「左翼」とか言われたけれど、彼にとってはそれら自体が重要なのではなく、政治・社会に関心を持つのも、労働者や若者のために演奏会をするのも、現代の作曲家にエールを送るのも、「人間として」「より良いもの」を目指して生きるうえで自然のことであり、彼の人生の根幹をなす音楽そのものと、不可分なのでしょう。音楽を探求する上でも、演奏(会)を行う上でも、そのポリシーが底流にあるのだと、思わされます。
arpeggioさんが書いていらしたように、コンサートの機会が少なくなりそうな気配。それはちょっと寂しいけれど、「どうぞごゆっくり、生活を楽しみながら、良い仕事を、大切に思っていらっしゃる事を、納得いくかたちでなさって下さい」と言いたいですね。
幸い1月はスケジュールのないマエストロ(私達が知らないだけかも^^;)、ノンビリ過ごされているのでしょうか、それとも、目を輝かせて、好きなだけピアノに向かっていらっしゃるのでしょうか。

シュトックハウゼンについて触れられていますが、彼のsito(場所)をサイトと訳しました。彼自身ではないけれど、支持者の運営するサイトがあります。そこに彼の真意とするところが載っていました。
「greatest piece of art of LUCIFER」(ルシファーの偉大な芸術作品)
彼の新作の発表に際しての記者会見でのこと。主題の一つにLucifer(堕天使→悪魔)があり、報道陣のLuciferは存在するか、との質問に、「いる、例えばあのニューヨークの攻撃の中に」と答えたのです。あの事件の規模の大きさ、計画の周到さ、緻密さ、行動の果敢さ等を考えると「音楽家からみると、10年もリハーサルを重ねた演奏会のようだ」「全体の計画はルシファーの偉大な芸術作品のようだ」と。
彼の定義によればLuciferは反逆者、神や愛を知らぬ、しかし高度な知性を備えた悪魔です。その行為は否定さるべきもの、との意味を含んでいたでしょう。
ところが「Lucifer」が落とされ、「偉大な芸術作品」と、あたかもテロを称賛したように報道されたのです。
故意にか、無知ゆえにか・・・判りませんが、その後の凄まじい反響をみると、ジャーナリズムの力の恐ろしさを感じてしまいます。狡猾なLuciferがそこに入り込んでいないといいのですが。
それにしても、ポリーニもインターネットをやってるのかしら。。。。

2月・3月・6月のリサイタルの曲目が一部判りましたので、2002年スケジュールを更新しました。
ローマでのドビュッシー「前奏曲集第2巻」に驚き\(^o^)/
ショパンの「24の前奏曲集」も、久しぶりですね(^^)。

2002年1月14日 15時50分

嬉しい「ポリーニ記念日」
マスクをしてくるんだった! 小雨(みぞれ?)パラつく渋谷の街を歩きながら、思いました。
いえ、私は元気です。ゆるみっ放しの頬を隠すために。行きは期待で、帰りは嬉しさで、顔がニヤツイてしまって、困りましたぁ。すれ違った人はきっと、不気味なオバサンだと思ったことでしょう。

1月5日、Pollini Edition をついに手に入れました。ミラノの空(西の方)に向かって、マウリツィオ、おめでとう!と叫びました(心の中で)。
そして、ショパンの協奏曲、シューマンの協奏曲を聴きながら、嬉しさと感謝の気持ちで一杯です。
過去の演奏にこうして触れることができて、彼自身が選んだ、その芸術の軌跡を明らかにする音源に、あらためて触れることができて、この素晴らしい芸術家の演奏を聴けるのがどんなに幸せなことか、これからも聴きつづけていけるのがどんなに悦ばしいことか、と思いました。同時代に生きていて、本当に良かった!と思います。
貴重な写真を提供してくれたポリーニの温かさにも感激です。お父様似と思ったけれど、お母様(とっても美しい方)にもそっくり!! 奥様との、ダニエーレとの心温まるツーショット。リヒテルとの敬意のこもった握手・・・。リヒテルの本に、コンサートやCDの率直な批評があるのですが、若いポリーニの演奏を「冷たい」「機械のようだ」とか書いていたので、あんまり親しくないのかしら・・・と思っていたのですが。。。

夕方はRAI3を聴きました。5時からのインタビューやドキュメンタリー。内容はサッパリだけど、ポリーニの声だけは判る! 独特の話し方ですね。「謝肉祭」の和音が鳴ったのには、ビックリ。ところがすぐにバッファになってしまって・・・(T_T)。
協奏曲も受信状態は悪かったけれど、それなりに楽しめました。Op.61のピアノ版、第2楽章が綺麗でしたね。またいつか、演奏してくれないかしら。今日は充実した1日でした。マエストロ、ありがとう。

さて、この Wie aus der ferne も、今日で満1歳になりました。温かく見守り、励ましてくださった皆さま、ありがとうございました。
なかなか更新できなかったり、コンテンツが増やせなかったり、歯がゆい思い、情け無い思いもしましたが、ゲストブックに訪れてくださる方々、メールを下さる方々に支えられて、ここまで続けて来られました。
今年もまたポリーニ・イヤー。ご一緒に楽しく、さらに熱く、ポリーニへの想いを語り合っていきましょう。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

で、1歳の記念に「ポリーニ・バイオグラフィー」を作ってみました。実は去年オープンした時、"Coming soon" と書いたのですが(^^;)。なかなか実現できず、そのうち、「みんな知ってるもの、載せてもしょうがないよネ」と、諦めてしまったのでした。
でも、ここも1歳、マエストロは還暦。やはり基本的なコンテンツとしてUPしようと、心を新たにしたわけです。
いろいろな資料を参考に、簡単な年表を作成しましたが、ちょっと記したいこと、もっと触れたいこともあります。書き加えたり、別の形で、充実させていきたいと思っています。また、間違いもあるかもしれませんのでご指摘を、また「こういうのもありますよ」という新たな情報も、お寄せいただければ幸いです。

2002年1月6日 01時06分

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