ミラノに戻られたマエストロは、昨日からウンベルト・ミケーリ・コンクールの審査です。
このコンクールは1994年にポリーニの提唱で始められ、Gianluca Cascioliという若い天才を世に送り出しました。3年ごとの開催で、1997年にはユーゴスラヴィアのAleksandar Madzar が優勝、Nicholas Angelichが第2位。Madzerは欧州各地の音楽祭で活躍、Angelichもソロ、室内楽で活動し、来日もしています。この時はポリーニはArtistic Committeeのみで審査員には入っていませんでした。
第3回はなぜか4年目の2001年開催。ポリーニもまた審査員をつとめます。
審査委員長Luciano Berio、他の審査員はMichel Beroff、Natalia Gutman、Evgeni Koroliov、Aleksandar Madzar、Enzo Restagno、Charles Rosen、Alexis Weissenberg、Guo Wenjing。
Honour Committeeには音楽界の重鎮がズラリ。
Guido Salvetti、Carlo Fontana、Claudio Abbado、Salvatore Accardo、Vladimir Ashkenazy、Daniel Barenboim、Pierre Boulez、Alfred Brendel、Bruno Canino、Carlo Maria Giulini、Rocco Filippini、Zubin Mehta、Riccardo Muti、Goffredo Petrassi、Mstislav Rostropovitch、Wolfgang Sawallisch。
このコンクールを創設するにあたって「ベートーヴェンから現代の音楽まで」「室内楽も演奏するように」とポリーニは考えていたようですが、2回目のプログラムにはなぜかベートーヴェンが1曲も含まれず、ロマン派〜後期ロマン派〜20世紀〜現代音楽のソロと、ロマン派の室内楽が課されました。今回は室内楽ではなく、Final Roundに協奏曲が演奏されます。
プログラム(課題曲)を見ると、
第1ラウンド:a.・b.グループから選んで50分以内に。
a. バッハ:平均律第1巻、パルティータ、イタリア協奏曲、イギリス組曲他
b. アルベニス(イベリア)、バルトーク(戸外にて他)、ベルク(ソナタop.1)、ドビュッシー(前奏曲集、映像、練習曲、版画、喜びの島)、ヒンデミット(組曲1922)、メシアン(鳥のカタログ、幼子イエスに注ぐ20の眼差し他)、プロコフィエフ(4、7、8番ソナタ)、ラヴェル(鏡、夜のガスパール、優雅で感傷的なワルツ、クープランの墓)、シェーンベルク(3つのピアノ曲、5つのピアノ曲他)、ショスタコヴィッチ(24の前奏曲とフーガ)、スクリャービン(ソナタ5〜10番)、ストラヴィンスキー(ペトルーシュカよりの3楽章)、ウェーベルン(変奏曲op.27)等
第2ラウンド:a.・b.・c.グループから選んで75分以内に。
a. ハイドン、クレメンティ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ショパン、シューマン、リスト、ブラームス、の「ソナタ」
b. バッハ(トッカータも)、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ショパン(幻想ポロネーズも)、メンデルスゾーン、シューマン、ブラームス、ムソルグスキー(展覧会の絵)、スクリャービン、の主に「幻想曲」
c. アンドリーセン、ベリオ、ブーレーズ、ケージ、カーター、カスティリオーニ、クラム、ドナトーニ、ファーニホウ、カーゲル、リゲティ、シャリーノ、シュトックハウゼン、クセナキス、の作品
Final Round は3人に絞られ、第1は60分以内で。
a. 第2ラウンドのc.グループから1曲(クルタークへの委嘱作ができなかったため)
b. 前ラウンドの曲から選択(自作を演奏したい場合は、6ヶ月前に提出する)
Final の第2は、ミラノ・スカラ座にて、その管弦楽団との共演。
モーツァルト:協奏曲第9番「ジュノム」K.271
ベートーヴェン:協奏曲第5番「皇帝」
ラヴェル:協奏曲ト長調
バルトーク:協奏曲第2番
バッハから古典派、ロマン派前・後期、20世紀そして現代作品と、ピアノの歴史を網羅したプログラム。高度のテクニックと、豊かな音楽性を要求される、おっそろしく難解なコンクールのようです。審査員も疲れるだろうナァ・・・。
なお、Concorso pianistico Internazionale Umberto Micheliのサイトは折々に更新されています。
http://www.micheli.it/ をご覧下さい。
11月バルセロナと12月パリでの、リサイタルの曲目が判りました。スケジュール表に載せておきます。
パリではショパン「舟歌」を弾くんですよ。CDであの冒頭の和音を聴いた時の驚き。清らかな水に光が射して、深い底まで見とおせるような透明な音色、輝きながら奥深い響き。ショパンの究極の傑作・・・と、思わされました。