皆様のご意見・ご感想
第5夜

第5夜です… 
《おじさん》さん

   今日は行楽帰りの渋滞に事故渋滞が重なってしまい、開演ギリギリになってしまいました。それを見越して早く出たつもりだったんですが甘かったです。プレ・コンサートに間に合わなくて、ああ残念。もう開演もすぐなのに、頭の切り替えが出来なくてまだ私は落ち着きません。何時もの様にファブリーニ氏とマリリーザ・ポリーニさんが客席に現れて着席しました。親しくお話している隣の男性は誰なんだろう。
 プログラム前半はブラームスの合唱曲が3曲です。1曲目、そういう曲が有るというのは知っていましたが初めて聞く曲です(というか、今日の曲は、すべて私は初めて聞きます)。2つのホルンとハープの伴奏による女声合唱曲op.17なんて、そうそう聞く機会はありません。早く落ち着けと自分に言い聞かせながら聴きました。シェーンベルク合唱団の女声陣26名が舞台に登場です。後、ホルンのバボラークとドールさん、ハープの吉野直子さん、そして指揮のオルトナーさん(一週間で3回目ですから、もうすっかりおなじみさんという感じです)です。やはりホルンは素晴らしかった。プレ・コンサートをお聴きになった皆さんはいかがでしたか? きっと魅力たっぷりの演奏だったと想像できます。ああ、ホントに聞けなくて残念。吉野さんのハープも素敵の一言。シェーンベルク合唱団は緻密なアンサンブルとハーモニー感が薄れたように感じました。紀尾井ホールからサントリーホールへ、私の耳も慣れていないせいでしょうか。しかし、あきらかに、あの、Sの歯擦音の響きが違います。紀尾井ホールの時はサーというホワイトノイズの感じ。ところがサントリーホールではザーというピンクノイズの感じです。やはり広い空間だからでしょうか。紀尾井ホールの方が音の密度が濃かったような気がします。アンサンブルの密度も少し薄まっているような感じです。しかし、紀尾井ホールの時と比べて、という事で、ほんの少しの差でしかなく全く気にはなりません。すぐに演奏の魅力に引き込まれてしまいます。変わった編成の曲ですが、やっぱりブラームスだ、と納得できる曲です。1曲目の最後の音のホルンが素敵でした。もう響きの領域に行っているように聞こえる最弱音を大事に大事に扱って見事に声と溶け込んでいます。2曲目の「五つの歌op.104」からは男声20人も入って来て46名の混声になりました。第3夜の1曲目から、段々人が少なくなっているみたいですが、どうしてなんでしょうか。この曲は、最後の第5曲に救われました。プラームスにも不思議な曲があるんですね! 
 3曲目「4つの四重唱曲op.92」でポリーニ登場です。合唱団は46名のまま。そのソプラノのパートの前に斜めにピアノを置いて蓋は全開です。斜めに置いたので、客席からは鍵盤が良く見えます。混声合唱の伴奏でこのようなセッティングするのは初めて見ました。ピアノの足が、巧妙にセリ(舞台上の稼動部分)を避けているのが分かります。しかし、混声合唱の伴奏をしているポリーニの姿を見れるなんて、考えた事も無かったので、今、初めてその姿を見て不思議な感じです。ピアノが斜めなので、私からはピアノの右後ろから見る事になるわけですが、思ったよりピアノは聞こえました。少し抑え過ぎの様な気もしますが、私は紀尾井ホールの時のバランスのままでポリーニが弾いているように感じました。ですから細かいニュアンスは紀尾井ホールの時程はっきりとは分かりません。まあ、合唱の伴奏ですから、これで良しという事で、全体を聴きます。第2曲で左手一発、右手一発のブンチャ・ブンチャという典型的な伴奏スタイルが出て来ましたが、やはり、一つ一つのニュアンスが変わっていき大きなフレーズを作っているのが分かります。1曲目でいろいろ感じた問題など、もう吹き飛んでいて、ブラームスの世界に浸る事が出来ました。一際大きな拍手で前半は終了です。
  休憩中、プログラムをパラパラ見て気がついたんですが、マリリーザ・ポリーニさんのお隣の男性はマンゾーニだという事に気がつきました。あの人がCDの「質量」を作った人なんだ… じっくりと観察してしまいました。
   休憩後、そのマンゾーニの「影の横糸」です。シェーンベルク合唱団より女声12名男声12名。小オーケストラは、アンサンブル・ノマドのメンバーでヴァイオリン3・ヴィオラ2・チェロ1・フルートとピッコロの持ち替えで1(もう一つ竹笛のような小さいのを持っていたような気が…?)・バスクラリネット1・トランペット1・パーカションが2。そして吉野直子さんのハープです。そして指揮のオルトナーさん。曲が始まるのかな、と思ったら舞台の明かりが暗くなってしまったので、何か間違えたのかな、と思ったら、舞台の左から女性。右から男性。それぞれ能の衣装とお面を付けた方が現れました。女性の方はハイヒールを履いていたので違和感がありましたが男性の方は白い足袋のようです。お面を、布をかけた譜面台に置くと、それがソプラノのバラインスキーさんとカウンターテナーのラッザーラさんでした。バラインスキーさんは、第3夜でノーノの「春が来た」を歌った、私にとって魅力のソプラノです! プログラムに、この曲の出だしが16小節だけ載っていたのでそれを見ながら聴きます。小オーケストラはなかなか素敵でした。日本人は、こういう曲はホントに上手いと感心しました。それに、私は、この曲好きです。マンゾーニは見てると普通のおじさんなんですが、曲はホントにデリケートで繊細な曲、小さな小さなガラスのブロックを綺麗に積み上げて出来たシャンデリアのような曲です。ちょっとでも触るとガラガラと崩れてしまいそうな緻密な曲で息をひそめて聴きました。曲が終わって、オルトナーさんがマンゾーニを舞台に呼びます。先ほどのおじさんが行きました。オルトナーさんのステージマナーがお茶目で、あなたどうぞ、いえあなたから、みたいにやってたら、舞台の山台ようの階段に躓きずっこけてました。
 後半2曲目、シューマンの「女声とピアノのためのロマンス第1集」でポリーニ登場です。シェーンベルク合唱団は26名の女声に変わります。これもまた煌びやかな不思議な曲でした。もう、細かくポリーニを聴くのは止めて、この素敵な時間を心行くまで楽しむ事にしました。シューマンなんだけど、聴いた事の無いような感覚です。なんだか今日のコンサートは、不思議な感覚に襲われる曲ばかりです。ポリーニのピアノも、軽やかに漂っている感じです。
   最後の曲。シューマン「4つの二重合唱曲op.141」。芸大クノスペンコーア合唱団が30名加わって全部で76人になりました。声を主体としたコンサートは今日の第5夜で終わるわけですが、その最後に相応しい大合唱団です。これがあるからサントリーホールに変わったんだなと納得しました。これを紀尾井ホールで聞いたら、観客の1割の合唱、という事になって、それも聞きたかったですが、きっと、うるさかったかもしれません。しかし、日本人の合唱団って、どうしてビブラートが多いのでしょう。今まで聴いて来たシェーンベルク合唱団のハーモニーが少し濁った感じになりました。ファルッテシモの所で、シェーンベルク合唱団だけの時は決して出てくる事が無かった突出した声が聞こえて来るようになりました。ソプラノとテノールで… まあ、どうせ大味な雰囲気になってしまったので、細かい事は抜きにして、やはり楽しむ事にしました。意外と宗教色が有る曲で、シューマンにこんな曲が、という新鮮な驚きです。
 何とアンコール2曲です。それも拍手の最中にピアノをセッティングしてポリーニ登場です。アンコールが有るというだけで驚いたのに、曲がシューマンの「流浪の民」なので尚更驚きました。芸大の面々は舞台の左右の端に移動し、合唱はシェーンベルク合唱団だけです。ポリーニは乗り乗りで、もう伴奏の域を脱しています。独奏と合唱、のように聞こえました。速めのテンポで、おそらく、そんなには練習はしていないと思われる、自分の物、という演奏では無く、楽譜を見て演奏、のように感じました。所々のミスタッチはご愛嬌という感じです。でも、ポリーニらしい輝かしい音でした。今日のポリーニは本当に皆と演奏したかったのでしょう。アンコール2曲目は前半演奏したブラームス「4つの四重唱曲」から第1曲「ああ、美しい夜よ」でした。全くその通りです!! さっきと違い、これまた乗り乗りの演奏で、それにポリーニは抑えて弾く事を忘れているようです。合唱団もそれに答え熱く歌っています。もうさっきと別の曲かと思われるぐらい違います。今夜も素敵な一夜を、本当にありがとう…
11/05(火) 02:53

アンコールうれしかったです 
《ホワイティー》さん

第5夜、前にも書きましたが、やはり紀尾井だったらもっと良かっただろうなぁ、と感じました。
合唱団は普通に弧を描くように並んでいましたので、内声が少し弱めで、端の声がやや強くなるという
サントリー・ホール特有の響きでした。ただし、常にスピントしてわめくというような唄い方の合唱団ではありませんのでそれほど気にはならず助かりました。

ホルンの伴奏、さすがですね。アマの合唱団でのホルン伴奏では、唄う方も聴く方もいつも いつひっくり返るか をひやひやするのが常なんですが、昨夜は本当に安心して素晴らしい響きを楽しめました。
プレ・コンサートもとても楽しかったですが、演奏中の入場自由でざわついた雰囲気、というのは演奏内容に対してもったいないなぁ、と感じました。たかだか15分程度の演奏で、その後開演まで15分程度時間があったのですから、18:30で一度ドアを閉めてしまっても問題無かったのでは、と思います。

マエストロのピアノ伴奏、この日も堪能しました。それにしても、普通、コーラスの伴奏ではピアノは半開程度で、100名以上で全開というのが多い様に思いますが、あの程度の人数で全開というのはそれだけコントロールして弾くことができる、ということですので本当にすごいことだと思います。
できれば、もっと派手な伴奏の曲も聴きたかったなぁ、とシューマンが終わった時点では考えていました。

マンゾーニも面白かったです。バラインスキーさんのハイヒールには違和感は感じましたが、普段、ヒールを履いた状態で重心を決めていて、声の出し方を優先して、ということだったのでしょうか?

最後の Doppel chor、ある意味で、シェーンベルク合唱団の実力のすごさを再認識できた一曲でした。
・・・・・(今更、特に申しません)
なので、このまま第5夜が終わってしまうのか? ともやもやした気持ちで、とりあえず気の抜けた拍手を続けていたのですが、なんと、アンコールです。
シューマンで終わったので、シューマンでアンコール向きの曲? もしかして? でも、あんな俗っぽいの? まさかね? なんて考えているうちに最初の音が鳴って、うわぁ〜、でした。ミスタッチも何のそのです。
こんなもの聴けるとは思いませんでした。ブラームスの再演もとても良かったです。
このおかげで、さっきまでの気持ちはどこへやら。とても幸せな想いで家路につきました。

マエストロもリハで聴いていて感じるところがあったのでしょうか?
それにしても、先日のシューベルトのテンポといい、昨夜のアンコールといい、願っていたことを叶えていただいてマエストロにはただただ感謝するばかりです。まぁ、アンコールについて言えば、シェーンベルク合唱団とは第5夜までで終わりで、プロジェクト前半を盛り上げてくれた彼らへの感謝の意味を込めて予め考えてあったのかもしれませんが、、、
自分に都合良く解釈しちゃいます。
そう言えば伴奏が終わった後、マエストロが合唱団に向かって熱心に拍手を続けていて、オルトナーさんがマエストロに
あなたも観客から拍手を受けていますよ、前へ向かないと、というような感じで
マエストロを前へ向けさせようとするのに、そっちのけで合唱団に拍手していて、しばらくしてようやく前へ向き直って拍手を受けていたお姿がとてもほほえましかったですね。

めったに聴くことのできない室内楽の第6夜も更に楽しみです。 それでは、また。
11/05(火) 15:35

Pollini Projectへ戻る