60歳の誕生日を前に
Pollini, 60 anni : musica contro i conformismi
"責任を放棄することなしに、プライベートな生活の時間をより多くします"
"演奏会は少なくしますが、世界を変えるユートピアもピアノで追い求めます"
ミラノにて
明日であの60歳になるなんて、まったく思っていなかった。 <あなたの長い熱心なピアノとの付き合いで、今までに退屈(疲労)された時はありましたか?>
退屈(倦怠)を予想しない「結婚」ですよ。ピアノのレパートリーは広大です。長い年月で、私はほんの僅かな部分しか探っていません。本当のところ、殆んどいつも人々は2つの世紀、ピアノにとって黄金時代である18世紀と19世紀の辺りに、引き付けられています。時々、この楽器はその機能を使い尽くしたかのように言われるのを人々は聞きます。 <この最後の作曲家は、近頃ツイン・タワーの火災の印象について「芸術作品だ」とか軽口を言って、スキャンダルになりました・・・> 彼はその言葉を、彼のサイトで否定していますよ。でもあれは高くつきました、多くのホールが彼の名前をポスターから削除してしまいました。個人的には、あんな風に表現したのだろうかと、疑問に思います。私にとっては20世紀の偉人のままなので、彼の演奏を続けます。 <あなたはずっと以前、ベトナム戦争に反対する立場を取っていました、今はアメリカへの共感を表していらっしゃいます。あの危害の少し後に、アバドとベルリンフィルとともに、ニューヨークへ行かれました。勇敢な選択ですね、オーケストラ全員が共にしたのではないのに。>
市民の生活を、屈してはならない正常な状態を、擁護するために、行動で表したのです。なにも恐れることはなく、ただ熱い思いと(悲しみを)共にする特別な感情がありました。 <折よく、ヨーロッパはユーロでまた統一を強めました・・・> それに加わっているのだから、プロディに感謝しなくてはね。計画性豊かな、計り知れない意義のある転換点です。だがまた我々にとって大きな後見でもあります。 イタリアでは近頃、どの観点からも擁護できない一連の法律が認められてきました。司法府への連続的な攻撃を感じます。重苦しい雰囲気です。正直言って、たびたび外国に滞在する機会があるのを、喜んでいます。 <音楽の話に戻ると、間近なスカラ座のArcimboldi劇場への移転をどう思われますか。>
聴衆とレパートリーを広げる良い機会です。パオロ・グラッシが望んで分散させた時のように、その時はスカラがCiniselloやSesto San Giovanniという所で音楽をやったのですが、現在は、市中からは遠いけれど後背地からは近い、Gregottiの新しい建物が、刷新という重要な役目を担い得るでしょう。 <この点では、もはやユートピアではない・・・>
ユートピアは次々に起こります。時々は夢のままになり、時々は必要なもの(必然的なこと)と成っていきます。
Corriere della Sera 2002/1/5 |